2014 Fiscal Year Annual Research Report
抗癌薬や遺伝子治療薬を封入した肝臓表面適用シート製剤の開発
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24590053
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
西田 孝洋 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (20237704)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 腹腔 / がん / 放出制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、病巣部位近傍に選択的な薬物集積を可能にする新規投与形態として、昨年度までに、5-FUを封入した均一な形状の徐放化に優れたシート製剤を再現性良く作製し、シート製剤の毒性や肝臓内動態を予備的に検討した。封入している5-FUの肝臓内動態を最適化するために、代謝阻害剤などをシート製剤に含有させる必要性が示唆された。そこで本年度においては、肝臓表面投与後の5-FUの局所動態を向上させるために、5-FUの代謝阻害剤であるgimeracilおよびuridineの併用による5-FUの肝臓への集積性に対する影響を検討した。円筒状の拡散セルを用いて5-FUをラットの肝臓表面へ代謝阻害剤と同時に適用したところ、180分後の5-FUの吸収率はいずれの条件においても約70%であり、gimeracilやuridine併用の肝臓表面からの吸収に及ぼす影響は認められなかった。肝臓表面投与180分後の肝臓内の拡散セル直下部位における5-FU濃度は、uridineを併用した場合、有意な差は認められなかった。一方、gimeracilを併用した場合では、コントロールと比較して有意に高くなり、効果が最大となる濃度が得られた。さらに、gimeracilの併用条件では、肝臓内の拡散セル直下部位における5-FU濃度は、投与360分後においても高く維持された。したがって、gimeracilの併用により投与部位近傍への5-FUの集積性は向上し、5-FUの局所動態を制御できる可能性が示された。今回得られた知見に基づいて、gimeracilを含有させたシート製剤の作製を既に開始しており、肝臓表面投与法の臨床応用を想定したDDS製剤を開発する上で、重要な基礎情報が得られた。
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Research Products
(3 results)