2013 Fiscal Year Research-status Report
低酸素がんのインビボ化学発光イメージングを基盤とする高感度がん診断薬の開発
Project/Area Number |
24590054
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
奥田 健介 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (00311796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永澤 秀子 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90207994)
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Keywords | 癌 / 分析科学 / 低酸素 / インビボ / イメージング / 化学発光 / 高感度 / 非侵襲性 |
Research Abstract |
低酸素がん組織は、浸潤・転移、血管新生などの癌の悪性化や再発の要因であり、がん治療上重要な標的であることが古くより示されてきている。本研究は、化学発光イメージング法の特性を生かして低酸素がんを高感度に検出する新規がん診断薬の開発を行うものである。化学発光は安価かつ簡便な装置で検出でき、蛍光法を凌ぐ高感度性と良好な時空間分解能を有する。そこで、低酸素領域特異的な化学発光により、in vivoイメージングに適したユニークな分子プローブの創製を行うこととした。 まず最初に低酸素環境下で種々の還元代謝反応が進行することに着目し、この代謝により引き起こされる脱保護反応により化学発光が生じると考えられるtrimethylquinone基を有する1,2-dioxetane誘導体の合成を達成した。nitroreductaseを用いたスクリーニング系により検討したところ有意な化学発光の増強が観測され、本化合物がnitroreductaseの基質として働き化学発光を生じたことが明らかとなった。以上の結果より、低酸素をイメージングする第一世代の化学発光プローブのプロトタイプの開発に成功したと言える。しかしながら本プローブには非極性環境が有意な発光に必要であるために、バイオイメージングに適用するためにはさらなる改良が必要であることも明らかとなった。本プローブの発光機構としては、酵素代謝産物の有するフェノール性水酸基の脱プロトン化が含まれることから、本官能基の酸性度の向上ならびに水系溶媒での発光効率の向上を達成する手段としてプロトタイプのプローブにヘテロ五員環を置換基として導入した第二世代の化学発光プローブの設計・合成を行った。その結果、本プローブは予期した通りに水系溶媒での発光能を有することが化学的な還元を行ったところ明らかとなった。しかし、nitroreductaseを用いて検討した結果、酵素基質としては認識されず、さらなる分子変換が必要であることも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1,2-dioxetane誘導体が分解することにより化学発光を生じることは古くから知られているが、設計した1,2-dioxetane誘導体が所望の酵素反応の基質として働くか否か、ひいては分解を伴う化学発光を生じるか否かを予測することは困難であり、実際に合成して確認するまで分からない。本研究では、cytochrome P450 reductase等により低酸素環境下特異的に種々の還元反応が進行することに着目して、1,2-dioxetane誘導体が分解して化学発光を生じると期待される誘導体を設計・合成した。本化合物のデザインにおいては、基質の安定化のための必須構造であるかさ高いアダマンチル基が、酵素における基質認識部位への取り込みを阻害する結果が予備的な検討により判明したため、基質認識部位をリンカーを介してアダマンチル基から遠ざけたところ、nitroreductaseを用いた評価系において有意な化学発光の増強が観測され、ここに第一世代の低酸素化学発光プローブのプロトタイプの開発に成功した。次に本プローブにヘテロ五員環を置換基として導入して化学発光共鳴エネルギー移動(CRET)を利用することにより、本プローブを用いたイメージングに必要である非極性環境を排除すると同時に生体イメージングに有利なように発光波長を長波長化することを目指して第二世代プローブの設計・合成を行った。その結果、本プローブは予期した通りに水系溶媒での発光能を有することが化学的な還元を行ったところ明らかとなった。しかし、nitroreductaseを用いて検討したところ酵素基質としては認識されず、さらなる分子変換が必要であることが明らかとなった。以上、本年度においては低酸素をイメージングするCRETを介した第二世代の化学発光プローブのプロトタイプの開発に肉薄しており、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.第二世代の化学発光プローブの達成およびin vitro評価 次年度においては、本年度の時点で開発に肉薄している第二世代の化学発光プローブの達成を行う。具体的には現在問題となっている本プローブの酵素基質としての認識能の問題を解決するために、CRET受容体であるヘテロ五員環の置換位置のチューニングを行って立体障害の問題を回避する。ついで、nitroreductaseを用いたスクリーニング系により検討を行って化学発光プローブとして評価し、さらに構造活性相関の検討を行う。次いで細胞毒性(MTT assayおよびchronogenic assay)の有無を検討し、本プローブの妥当性を評価する。細胞毒性が認められた場合には、アダマンタン部位に適宜誘導化を行うことによって化学発光プローブとしての性質は保ちながらも細胞毒性の弱い化合物への導出を行う。抽出された化合物に対し、体内動態の重要なファクターである構造活性相関パラメータの解析も行い、in vivoでの化学発光イメージングプローブの分子設計に反映させる。 2.選抜された誘導体のin vivo評価ならびに総括 担がんモデルマウスを用い、プローブを投与した際にin vivoイメージングによって低酸素がん組織に選択的に化学発光が認められることの評価を行う。また動物での体内動態及び細胞内動態の検証と調節、クリアランスも検証し、必要であれば再度プローブの分子設計に反映させる。しかる後にin vitroおよびin vivoでの評価を行って候補化合物を選抜し、実用に耐えられるin vivo化学発光イメージングプローブの創製を達成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
378円と少額な繰り越しが生じた理由としては、消耗品である試薬の使用見込みと実際の使用量との間に若干のずれが生じたためである。 本年度に引き続き、候補化合物の合成とnitroreductaseを用いた一次スクリーニング実験に関わる試薬、ガラス・プラスチック器具を必要とする。さらに次年度においては合成したプローブの二次スクリーニングならびに機能解析としてin vitro培養細胞を用いた実験系およびin vivo担がんモデルマウスを用いた実験系を予定しており、それぞれ低酸素ガスをはじめ培地、試薬、ガラス・プラスチック器具、動物、飼料などの経費が必要である。さらに、日本薬学会年会(2015年3月、神戸)における成果発表のための国内旅費、および原著論文としての発表に要する学会誌投稿料を経費として用いることを計画している。
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Research Products
(4 results)