2014 Fiscal Year Annual Research Report
インテリジェント標識試薬の創製とキラルメタボローム解析に基づく疾病マーカーの探索
Project/Area Number |
24590055
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
豊岡 利正 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (40183496)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | キラルメタボロミクス / 光学活性誘導体化試薬 / 液体クロマトグラフィー / 質量分析法 / バイオマーカー探索 / 疾病診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年メタボローム解析に基づく疾病に関連したバイオマーカー分子の探索が盛んに行われている。しかし、光学異性体を考慮したメタボライトプロファイリング解析によるバイオマーカー探索は、全く検討されていない。その最大の理由は、メタボローム解析に通常使用されるODSカラムを用いた液体クロマトグラフィー質量分析法(HPLC-MS)等では、光学異性体を分離検出することができないためと考えられる。 本研究では、光学異性体を識別でき、且つ高感度選択的検出が可能な各官能基別標識試薬の創製と、これらの合成した試薬群を用いた疾病に関連した不斉炭素含有光学異性体バイマーカーの探索を目的としている。 平成24-25年度において、MSに最適な各官能基別標識試薬の合成と基礎検討および評価を行った。これまでに、光学活性カルボン酸用として、(S)-PyT-Nを創製した。一方、光学活性アミン分析用として、(R)-PyT-CおよびL-PGAを開発した。L-PGAは、安価な試薬であり、DL-アミノ酸の検討から光学識別能も優れていたが、活性化試薬を併用する必要があった。そこで今年度は、さらに反応性の高い試薬として、そのコハク酸イミド体であるL-PGA-OSuを合成した。一方、光学活性カルボン酸用として、これまでに(S)-PyT-Nを開発していたが、さらに高感度化を目的にトリアジン骨格を有するDMT-3(S)-Apyを新規合成した。予想通り、本試薬により高い感度が得られ、検出限界はamolレベルであった。本試薬を糖尿病患者唾液の測定に応用したところ、健常者と比較し、糖尿病患者では、D-乳酸の割合が優位に高かった。このことは、光学異性体が、ある種の疾病の診断バイオマーカーになり得ることを示唆しており、本研究の方向性が正しいことを証明した。
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