2013 Fiscal Year Research-status Report
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24590056
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
木下 誉富 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90405340)
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Keywords | 受容体型チロシンキナーゼ / 病原活性変異体 / がん / 活性化機構 |
Research Abstract |
受容体型チロシンキナーゼFibroblast Growth Factor Receptor (FGFR) は細胞外から細胞内へのシグナル伝達を仲介し、繊維芽細胞などの増殖・分化を誘導する。正常組織ではFGFRはリガンドとなるFGF依存的に自己リン酸化して活性化する。一方、ガン組織においてFGF非依存的な恒常的活性を示すFGFR変異体が発見されている。本研究では、X線結晶構造解析、分子生物学的改変及び酵素機能解析を行い、FGFR3に特有の恒常的活性変異体K650M及びG697Cの活性化メカニズムを原子レベルで解明する。この成果を基盤として、生命維持に必要である野生型に作用せず、恒常的活性変異体にのみ作用する低副作用抗ガン剤の論理的創出を目指す。 これまでに活性機能メカニズムの解析の基礎データとして、野生型及びG697C、K650M、N540T各変異体についてKm値と比活性を求めた。これらの成果についてH24年度日本結晶学会年会、H25年度日本蛋白質科学会年会で報告している。さらに野生型及びG697C変異体について100×50×5 m程度の結晶を得ているが解析レベルに至っていない。 H25年度は良好なX線解析実験を行うために各タンパク質サンプルについて①構造の柔軟性が危惧されるC末端領域の切断、②遊離システインの置換、③発現ベクターの変更を行った。大幅にタンパク質サンプルの収量、純度を改善することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
野生型及びG697C変異体の構造解析まで完了することが本年度までの目標であったが、結晶成長に難があり解析レベルのX線回折データ取得に至らなかった。一方、酵素機能解析については予定を繰り上げ、野生型及び予定しているすべての活性変異体について完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
結晶成長を円滑に行うために、タンパク質の安定性をさらに改善して収率及び純度の向上を目指す。主に①発現宿主及び発現プロトコールの検討、②精製プロトコールを行う。得られたタンパク質サンプルについて活性やKmなど酵素機能に影響を与えないことを確認し、良質の結晶を得る。X線構造解析を行い、これまでに得た酵素機能と合わせて活性変異体の活性化メカニズムを明らかにする。
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