2013 Fiscal Year Research-status Report
薬物の選択的毛嚢デリバリーによる皮膚透過促進法の開発
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24590057
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
藤堂 浩明 城西大学, 薬学部, 准教授 (10383184)
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Keywords | 皮膚透過 / 促進法 / 毛嚢デリバリー / 皮内動態 / 毛嚢内動態 |
Research Abstract |
薬物の皮膚透過性に及ぼす毛嚢などの経付属器官の寄与については多くの報告がなされているが、その寄与の程度を示した報告は未だない。本年度は、薬物の選択的毛嚢デリバリーの評価に必要な薬物の皮膚透過性に及ぼす毛嚢透過経路の寄与率の算出する方法を確立し、物理化学的性質の異なる薬物の毛嚢透過の寄与率を明らかとした。また、種々薬物の毛嚢内濃度変化を調べ、毛嚢内動態に及ぼす薬物の物理化学的性質の影響について調査した。さらに、磁性粒子を用いた毛嚢選択的デリバリー法の確立を行った。 本年度の研究より、毛嚢プラッギング法により種々薬物の皮膚透過に及ぼす毛嚢ルートの寄与率を算出することができ、毛嚢ルートの寄与率は薬物の油水分配係数の値に依存することが明らかとなった。数多くの研究で水溶性薬物や500 Da以上の高分子薬物やイオン形薬物が皮膚透過において毛嚢の関与を報告しており、本結果はそれを裏付ける結果であると考えられた。、毛嚢中薬物濃度の経時変化については、いずれの薬物も適用後十分に時間が経過すると一定値を示すことが分かった。脂溶性薬物では薬物の皮膚透過速度と毛嚢中濃度の時間的挙動がよく一致するが、水溶性薬物では一致せず、皮膚透過速度が一定値を示すよりも早く毛嚢中薬物濃度が一定値を示すことが分かった。 これらの結果より、毛嚢内中の薬物濃度の挙動は、基剤から毛嚢への分配性のような薬物の物理化学的性質に依存することが明らかとなった。 更に、磁性粒子を用いたデリバリーにより、薬物の毛嚢移行性だけでなく、皮膚透過性を高めることができた。 これらの結果から、選択的毛嚢デリバリーを評価するための評価方法を新たに確立することができ、得られた結果を元に、薬物の選択的毛嚢デリバリーによる皮膚透過促進法に関する研究を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り進んでいる。 これまで報告がなかった、薬物の皮膚透過に対する毛嚢透過ルートの寄与率を明らかにすることができたこと、さらに、毛嚢内動態を評価する方法を確立したことで、皮膚適用した薬物の角層内動態および毛嚢内動態を分けて評価可能となった。従来の皮膚透過性の評価方法では、角層内動態と毛嚢内動態をわけて評価することができなかったことから、今年度得られた知見は、化学物質の有効性や安全性を調査する上で、非常に有益な情報を提供することができると考えている。得られた知見に関しては、現在論文投稿準備中である。 また、磁性粒子を用いたデリバリーにより、薬物の毛嚢移行性だけでなく、皮膚透過性を促進することができた。 以上、これらの結果から、本年度は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
薬物の毛嚢移行性を高めるための製剤設計を行なう。角層は死んだ角質細胞からなる脂溶性の膜であるため、角層と溶解度パラメータが近似した物質は、角層への分配性が高くなる(Dias M., et al., Int. J. Pharm., 340,65-70, 2007)。したがって、基剤や薬物キャリアーの物理化学的性質を利用することで、薬物を選択的に毛嚢へデリバリーすることが可能であると考えられる。また、毛嚢内から皮内に侵入するためには、tight junctionを突破する必要がある(Langbein L., et al., Eur. J. Cell Biol., 81, 419-435, 2002; Brandner J.M., et al., Arch. Dermatol. Res., 295, 211-221, 2003)。そこで、溶解度パラメータが異なる基剤やtight junction を開口させる吸収促進剤を選択し、毛嚢移行性および毛嚢から皮内移行を高めるための製剤設計を行う。皮膚の生きた表皮にはtight junctionが存在しているが、tight junctionによる薬物の透過バリア能は、角層による薬物透過バリア能と比較すると低く、他の経粘膜経路と比較するとtight junction openerに関する検討はほとんどされていない。これらの検討をすることで、薬物の毛嚢選択的デリバリーおよび毛嚢を介した薬物の皮膚透過促進法を確立する。
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Research Products
(3 results)