2013 Fiscal Year Research-status Report
フラグメントペプチドを用いたプリオンタンパク質の凝集メカニズムの解析
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24590066
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
秋澤 俊史 摂南大学, 薬学部, 教授 (30202526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 元美 摂南大学, 薬学部, 准教授 (20229446)
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Keywords | プリオンタンパク質 / マトリックスメタロプロテアーゼ / プロテアーゼ耐性 / 凝集性 / フラグメントペプチド / カラムスイッチHPLC / Cu2+ / MT1-MMP |
Research Abstract |
平成24年度に検討した、2種類の膜結合型マトリックスメタロプロテアーゼ(MT1-MMP と MT3-MMP) と可溶型MMP-7 による切断と銅イオンにより阻害についての実験結果をまとめ、論文として投稿し、受理された(Biomolecules, on line, 2014)。 平成25年度は、C-端側のペプチドを固定化したレジンを作成し、カラムスイッチHPLC法により、結合を検討した。その結果、 hPrP150-159 と hPrP92-168 の結合性が再確認され、ペプチドレベルで凝集性の検討が可能であることが予想された。そこで、21種類のペプチドのCDスペクトルを測定し、銅イオンとpH による構造変化を解析した。その結果、C-端側のペプチドは銅イオンの添加、あるいは、pH の低下によりベータシート構造に変化することが明らかとなった。また、構造変化を起こしたペプチドはMT1-MMP と MT3-MMPによる酵素分解に対して強い耐性を示したフラグメントペプチドであり、ベータシート構造形成と酵素耐性の獲得、及び、凝集性に密接な相関がが存在することが示唆された。CD解析の結果については、現在論文作成中である。 また、カラムスイッチHPLC 法による結合性の真偽を評価するため、平成26年度に、分子間相互作用測定装置を購入し(所属機関の研究費を充当)、C-端側のペプチドを中心に結合性の定量測定を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進んでいる点: (1) 21種類のペプチドについて、膜型マトリックスメタロプロテアーゼ(MT1-MMP と MTe3-MMP) による切断点の決定と、銅イオン添加による阻害が確認でき、論文が受理された。(Biomolecules,2014, on line)(2) 21種類のペプチドについて、CDスペクトルを測定し、銅イオン添加と pH 変化による構造変化を解析した。その結果、hPrP150-159 は βーターン構造を、hPrP175-189 とhPrP180-192 はβーシート構造を形成するペプチドであることが明らかとなった。これらの結果と24年度の酵素耐性獲得との間に興味深い相関が見られ、現在、論文作成中である。(3) カラムスイッチHPLC 法により、hPrP150-159 に対する銅イオンの存在/非存在下におけるペプチド-ペプチド間の結合性を測定した。その結果、中間領域より、2種類、C-端領域より5種類のペプチドが銅イオン存在かでhPrP150-159 に結合することが判明した。しかしながら、銅イオン非存在下においても弱いながら結合性を示すとともに、定量性に疑問が持たれる結果となった。これらに結果より、C-端側のペプチドフラグメントが凝集性に関与していると考えている。(3) hPrP150-159 の銅イオンの存在/非存在下での NMR 測定が終了したこと。 遅れている点: hPrP150-159、hPrP175-189、及び、hPrP180-192 の3種類のペプチドをレジンに固定化する所までは準備ができたが、結合性の確認が終了したものはhPrP150-159 のみである点。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24、25年度の2年間でほぼ予定どおりの進捗状況にあるので、最終年度では、目的達成のための実験を重点的に行うとともに、順次、論文として発表を行う。 実験項目:(1) 平成25年度に分子間相互作用測定器に代わり、HPLC を購入し、ペプチドーペプチド間の相互作用を測定し、凝集性の原因と考えられるフラグメントペプチドを推定し、レジンへの固定化まではできたが、銅イオン非存在下での結合性の定量性に不安が持たれた。この原因としては、凝集性の高いペプチドのレジンそのものの対する非特異的な吸着が考えられる。そこで、26年度に所属機関による研究費を充当して、分子間相互作用測定器を購入することとした(現在、購入手続き中)。最終年度の26年度は分子間相互作用測定器にhPrP150-159, hPrP175-189、hPrP180-192 の3種類のペプチドを固定化し、銅イオンの存在/非存在下での結合性を定量測定する。(2) 既に測定の完了した hPrP150-159 のNMR データを解析し、詳細な立体構造を決定することで、銅イオンによる構造変化への影響を化学的に証明する。加えて、hPrP175-189、hPrP180-192 の銅イオンの存在/非存在下での NMR 測定を行う。 論文作成: 上記1 に関しては26年度中に論文を投稿する。 上記2 に関しては hPrP150-159 に関する論文の作成に着手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費が余ったため。 次年度の消耗品費に加算する。
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