2013 Fiscal Year Research-status Report
抗癌剤耐性化機構を標的とした高分子キャリアDDSに関する基礎的研究
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24590070
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
加藤 くみ子 国立医薬品食品衛生研究所, 薬品部, 室長 (10398901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
運 敬太 国立医薬品食品衛生研究所, 薬品部, 研究員 (80624535)
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Keywords | リポソーム / 細胞内動態 / 脂質 / トランスポータ |
Research Abstract |
本年度は、リポソーム構成脂質として汎用されるリン脂質及びコレステロール、またポリエチレングリコール(PEG)修飾リン脂質やカチオン性リン脂質等の細胞内動態評価を行い、各種リポソーム構成成分の細胞内動態特性を明らかにした。いずれのリポソーム構成脂質もリポソームとしてエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれた。その後、リン脂質及びカチオン性リン脂質は小胞体-ゴルジ体輸送を受け、ゴルジ体との共局在が認められた一方で、PEG修飾リン脂質ではゴルジ体との共局在が認められないことが示された。また、カチオン性リン脂質はミトコンドリアへの輸送特性を有する可能性が示唆された。さらに、リン脂質及びカチオン性リン脂質は主としてABCG1を介して細胞外排出される一方、PEG修飾リン脂質はABCB1を介して細胞外排出されることが示された。以上のように、PEG修飾の有無や電荷等によってリン脂質の細胞内動態が大きく影響を受けることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、リポソーム構成脂質として汎用されるリン脂質及びコレステロール、またポリエチレングリコール(PEG)修飾リン脂質やカチオン性リン脂質等の細胞内動態評価を行い、各種リポソーム構成成分の細胞内動態特性を計画通りに解析することができた。さらに、各種高分子キャリア構成成分による、ドキソルビシン等の抗癌剤を内包したリポソーム製剤の放出特性や薬理活性増強との関連性に関する研究も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
内封薬物としてドキソルビシンを封入した際に、ドキソルビシンの薬理活性に及ぼす各種リポソーム構成脂質の影響について評価する。得られた各種脂質成分の細胞内動態に関する知見、特に細胞内動態特性や薬剤排出トランスポーターとの相互作用特性を基盤として、内封薬物の薬理活性向上や、抗癌剤耐性克服を可能にし得るキャリア設計を目指す。具体的には、組成や構成比率、表面電荷、並びにキャリアの構造安定化法として汎用されるPEG鎖導入等が、ドキソルビシン等の抗癌剤を内包したリポソーム製剤の放出特性や薬理活性増強に及ぼす影響を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は平成24年度に使用していた細胞株やキャリア成分、さらに研究室で有していた試薬等を使用してきたため、次年度に使用する研究費が生じた。 次年度は、新たな細胞やキャリア成分等に当該研究費を使用する予定である。
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