2014 Fiscal Year Annual Research Report
極長鎖脂肪酸伸長因子ELOVL1の機能と病態への関与
Project/Area Number |
24590073
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々 貴之 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (20342793)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 極長鎖脂肪酸 / スフィンゴ脂質 / セラミド / 皮膚バリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,飽和・一価不飽和の極長鎖脂肪酸合成に関与する極長鎖脂肪酸伸長因子Elovl1のノックアウト(KO)マウスを作製した。Elovl1 KOマウスは皮膚バリア不全を示し,体表からの水分の喪失により生後致死となることを明らかにした。Elovl1 KOマウスの表皮では皮膚バリアに必須の脂質であるアシルセラミド量が大きく低下し,その前駆体の蓄積が見られた。さらに,電子顕微鏡観察によりElovl1 KOマウスの顆粒層ではセラミドの貯留と放出に関わるラメラ体の数・大きさが減少していた。これらの結果から,Elovl1はアシルセラミド合成経路を構成する必須の酵素の一つであることが明らかになった。 副腎白質ジストロフィー(X-ALD)では,C24-C26飽和極長鎖脂肪酸が分解不全により蓄積する。X-ALD患者の血清中飽和極長鎖脂肪酸量を正常化できることが報告されているLorenzo's oil(オレイン酸とエルカ酸のトリグリセリドの4:1混合物)のターゲットがELOVL1である可能性を検討した。Lorenzo's oilの構成脂肪酸であるオレイン酸とエルカ酸がELOVL1の活性を阻害すること,特に,阻害効果はLorenzo's oilと同じ脂肪酸比率であるオレイン酸:エルカ酸=4:1で最も高く,Lorenzo's oilはELOVL1の阻害作用により飽和極長鎖脂肪酸レベルを正常化している可能性を示唆した。
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Research Products
(11 results)