2012 Fiscal Year Research-status Report
脂肪酸受容体と生活習慣病:食事由来腸内細菌産物認識受容体によるエネルギー調節機構
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24590077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 郁夫 京都大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80433689)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脂肪酸受容体 / 脂肪組織 / ノックアウトマウス / GPCR / 短鎖脂肪酸 / 腸内細菌 |
Research Abstract |
当研究室においては既にGPR43KOマウスの作出に成功している。したがってGPR43受容体の個体レベルでの機能解明のため、GPR43KOマウスの表現型をまず詳細に調べた。本年度は、まずGPR43の脂肪組織およびそれに関連する、代謝における生体内機能をシステム生物学的アプローチにより明らかにした。今回の研究成果により、腸内細菌代謝産物を認識する脂肪酸受容体GPR43が脂肪組織に高発現し、脂肪細胞への分化に伴い発現が上昇することを明らかにした。さらに、GPR43ノックアウトマウスを用いて、高脂肪食負荷実験を行った結果、GPR43ノックアウトマウスにおいて体重および脂肪重量が野生型マウスと比較し、有意に上昇することがわかった。我々はさらにこのGPR43ノックマウスにおける体重の上昇が脂肪組織に発現するGPR43の影響かどうかを検討するために脂肪組織特異的GPR43強制発現マウスを作製した。結果、このaP2-Gpr43TGマウスは野生型マウスと比較し、有意な体重減少および脂肪重量の減少が確認できた。したがって、脂肪組織におけるGPR43がエネルギー異常に何らかのかかわりがあるものと推測される。次年度は、さらにこの脂肪組織GPR43とそのリガンドを産生する腸内細菌叢との関連について、無菌マウス作成や抗生物質処置により検討を行う。さらにはこの脂肪組織におけるGPR43シグナリングについて明らかにする。GPR43同様の短鎖脂肪酸GPR41に関しては、以前の我々の研究より明らかにした交感神経系のGPR43による活性化について、そのシグナルがMAPKを介したシナプシンの活性化により起こることを今回の研究によって明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した研究の目的については順調に達成されつつあり、またそれを論文発表する前段階まで来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題に関しては、順調に目的を達成できつつあり、さらにこの脂肪組織GPR43とそのリガンドを産生する腸内細菌叢との関連について、無菌マウス作成や抗生物質処置により検討を行う。さらにはこの脂肪組織におけるGPR43細胞内シグナリングについて明らかにすることにより、体全体のエネルギー調節における脂肪組織GPR43の役割と腸内細菌叢の重要性の解明を目標にさらに研究を進めている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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