2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590080
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黒田 照夫 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80304327)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 消毒薬 / セラチア / 多剤耐性 / 多剤排出ポンプ / 馴化 |
Research Abstract |
院内感染の起因菌の一つであるセラチア・マルセッセンスの消毒薬耐性機構について明らかにするために、以下の解析を進めた。 本年度は、まずこれまでに作成していた多剤排出ポンプ遺伝子sdeXYを破壊した株を親株として、消毒薬耐性変異株を単離した。耐性変異株の単離は継代培養により行ったが、途中段階での培養液を馴化株が含まれたもの(馴化株混液)としてその後の解析に用いた。馴化株混液には消毒薬クロルヘキシジンに対する耐性度が異なる株が混在しており、継代を重ねるごとに、高い耐性度を持つ株の存在比率が明らかに上昇していった。最も高い耐性度を示した株は、臨床で用いられる濃度のクロルヘキシジンに対して高い生存率を示した。この株はクロルヘキシジンだけではなく、塩化ベンザルコニウムやトリクロサンなどの消毒薬に加えて、ノルフロキサシンやエリスロマイシンなどの抗菌薬に対する耐性も顕著に増大していた。耐性パターンから多剤排出ポンプ遺伝子sdePQの関与が考えられたため、その遺伝子発現を調べたところ、実際に発現上昇が起こっていることが確認できた。sdePQ遺伝子は親株では発現が見られていないが、11段階の継代の過程のうち3段階めで発現が見られるようになり、10段階めでさらなる発現上昇が見られた。同様にして得られたクロルヘキシジン耐性株において作成したsdePQ遺伝子破壊株ではその耐性が消失したことから、SdePQも消毒薬耐性に深く関係していることが示唆された。 sdePQ遺伝子の発現上昇機構を解明するために、最も高い耐性度を示した株について次世代シークエンサーを用いて変異部位を同定した。その結果、少なくとも4箇所での変異が同定された。当該変異と耐性の因果関係について解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度計画に示していた「遺伝子破壊株からの消毒薬耐性変異株及び馴化株の単離」「耐性株及び馴化株の性質決定」については解析を進めることができた。そして次年度以降に計画していたSdePQの発現上昇メカニズムについて、前倒しして変異部位を同定できた。一方で、脂質組成の検討については、上記変異部位の同定を先に進めたために、進捗度はよくなかった。よって総合的に見て「おおむね順調に進展している」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
ここまでの結果を論文にする作業を進めている。今年度はこれを最優先し、脂質組成の検討や耐性株・馴化株からの復帰株の単離を並行して進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝子クローニングの実験など恒常的に行っているものが今年度は多い。したがって消耗品費として予算の大半を使用する。
|
Research Products
(3 results)