2012 Fiscal Year Research-status Report
JAK/STATシグナル伝達における残された課題への挑戦と創薬への試み
Project/Area Number |
24590091
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
笠原 忠 慶應義塾大学, 薬学部, 教授 (60049096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多胡 めぐみ 慶應義塾大学, 薬学部, 講師 (30445192)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
JAK/STAT系はサイトカイン・増殖因子のシグナル系として重要であり、この経路を標的とする分子標的薬はがんの増殖、免疫炎症の制御に重要と考えられる。我々はこれまでに、JAK2V617F変異体発現細胞が増殖因子非依存的に増殖するのみならず、in vivoで腫瘍形成することを明らかにしてきたが、そのシグナル系の機序は不明である。今回、その機序について詳細に検討することをめざした。その結果、 (1) JAK2分子内のリン酸化部位間のクロストークとJAK2活性化における制御機構を解明するこのために、CE-MS/MS解析により新たなTyrリン酸化ペプチドの同定を試みた。新たなリン酸化ペプチドの同定法として、CM-MSを用いたHAMMOC法(鶴岡先端生命研究所杉山研究員との共同研究)を用いて解析を行った。 (2) JAK2 V617F変異体発現細胞での恒常的活性化と造腫瘍性を解析するために、下流のシグナル分子と実行因子を解析した。その結果、JAK2/STAT5の標的分子として、Akt, Aurora kinase, c-Myc, ODC, Pim-1,2, FANCC, SOCS, CISなどの分子を同定した。これらの分子のin vitroでの増殖に及ぼす効果の検討、ならびにin vivoでの腫瘍形成における役割を検討した。さらに、(3) JAK2V617Fの恒常的活性化を抑制する新規薬物の探索研究として、フラーレン誘導体ならびに天然物由来フラボン類に著明な増殖抑制と抗腫瘍効果のあることを見いだした。 本研究は、JAK/STAT系のシグナル系における新たなリン酸化ペプチドの探索とアダプター分子の同定により、このシグナル系の増殖異常の解析になるとともに、新たな制御物質の探索として重要と考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
c-Myc, ODCの役割については、日本薬学会、生化学会などの学会で発表するとともに、Funakoshi-Tago M, Sumi K, Kasahara T らのCritical roles of Myc-ODC axis in the cellular transformation induced by myeloproliferative neoplasm-associated JAK2 V617F mutant. PLoS One. 2013論文として、報告することができた。また、フラーレン誘導体の探索については、学会発表の他、Funakoshi-Tago M, Nagata T, Tago Kらによる Fullerene derivative prevents cellular transformation induced by JAK2 V617F mutant through inhibiting c-Jun N-terminal kinase pathway. Cell Signal. 2012に論文を報告をすることができた。フラボン類の抑制作用については、さらに詳細な検討を加えて論文にまとめている所であり、おおむね順調に進んできているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
JAK2分子内のリン酸化部位間のクロストークについては、今後さらに、種々の非リン酸化ペプチドを作成して重要なリン酸化部位の検討が必要であり、現在実験をすすめているところである。また、新たなリン酸化ペプチドの同定法として、CM-MSを用いたHAMMOC法を用いて解析を行っているが、JAK2活性化における制御機構を解明するこのために、CE-MS/MS解析により同定された膨大なTyrリン酸化ペプチドの意味付けが必要であると考えており、現在その作業をすすめている。さらに、前年度に得られたフラーレンやフラボン類のin vitroでの活性がin vivoでも再現できるか、マウスモデルにおいて検証をすすめることが必要と考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「該当なし」
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Research Products
(10 results)