2013 Fiscal Year Research-status Report
JAK/STATシグナル伝達における残された課題への挑戦と創薬への試み
Project/Area Number |
24590091
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
笠原 忠 慶應義塾大学, 薬学部, 教授 (60049096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多胡 めぐみ 慶應義塾大学, 薬学部, 講師 (30445192)
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Keywords | JAK2V617F / ODC / FANCC / 抗がん剤耐性 / フラーレン誘導体 |
Research Abstract |
本年度は、JAK2V617F変異体による異常増殖能の獲得ならびにin vivoにおける造腫瘍性に機序の解析を進めるとともに、種々の抗がん剤耐性の機序の解析を行った。得られた結果は、 (1)V617F下流シグナルの中で、c-Mycの関与とその標的分子としてODCに着目した。ODCの阻害剤であるDFMOはV617F発現細胞のin vitroでの増殖ならびにin vivoでの腫瘍形成は著明に抑制した。すなわち、V617変異体による下流シグナルとしてc-Myc→ODCの関与が明らかにするとともに、ODC阻害剤による異常増殖の制御が可能であることを示した。 (2)V617F発現細胞は、CDDP、MMCなどの抗がん剤に耐性を示した。この耐性機序を解析するために、V617F発現細胞に特異的に発現している遺伝子群のうち、ファンコニタンパク質のFANCCに着目した。FANCCはFANCD2のモノユビキチン化とFoci形成を誘導することにより、抗がん剤耐性を誘導していることを明らかにした。 (3)JAK2 V617F変異体の異常増殖を著明に抑制する薬剤として、pyrrolidinium fullereneを見いだした。このfullerene誘導体はASK1の活性を抑え、JNK経路(ASK1-MKK4/7-JNK)を抑制することによってV617F変異体にアポトーシスを誘導した。pyrrolidinium fullereneの活性構造の検討から、pyrrolidiniumへの最適な置換基をもつ誘導体(2-4,N-4))を決定した。 以上の結果は、平成25年~26年3月にかけて英文原著論文3報にまとめ、発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は本プロジェクトの2年目であるが、本研究で、JAK2変異体による異常増殖、造腫瘍性の機序を解析し、新たな知見が得られた。本知見は、平成25年~26年3月にかけて英文原著論文3報にまとめ、発表することができた。さらに、本遺伝子異常による疾患の治療薬の開発をめざして、有用な薬物を見いだしており、大きな進展が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後さらに、JAK2 V617F変異体のもつ異常増殖、造腫瘍性ならびに抗がん剤耐性の機序の解析をすすめる。とくに、V617F変異体の作用に必要なEpo受容体のリン酸化部位の重要性を明らかにする。また、種々の天然物由来化合物のスクリーニングを進め、本遺伝子異常による骨髄増殖性腫瘍に対する適切な治療薬の開発をめざす。すでに、予備的な実験であるが、フラーレン誘導体やプロポリス由来化合物、シソ科植物ケカニア由来のテルペノイドなどの有効な成分を同定している。
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Research Products
(9 results)