2014 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞特異的細胞死誘導分子の局在制御に着目した分子標的がん治療の新たな展開
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24590092
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
小島 裕子 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60231312)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 腫瘍細胞 / アポトーシス / Death receptor / 分子局在 / インポーチン / がん治療 / TRAIL |
Outline of Annual Research Achievements |
TRAIL(TNF-related apoptosis inducing ligand)に抵抗性を示し,TRAIL レセプターであるDR5(Death receptor 5)タンパク質を核内に持つヒト腫瘍細胞を用いて,ヒトインポーチンβ1(Imp β1)の機能を抑えた場合に,in vitroで見られた抗腫瘍効果がin vivoでも見られるかを調べた.薬剤誘導性にImp β1 shRNAを発現する,レンチウイルスベクタープラスミドDNAを元に作製した非増殖型レンチウイルスをHeLa細胞に感染させ,薬剤誘導性にImp β1がノックダウンされる細胞を得た.それらをクローニングし,ウェスタンブロットで顕著なImp β1ノックダウンが確認された2つのクローンとコントロールの細胞を,BALB/c RAG-2 (-/-)背部皮下にそれぞれ異種移植した.飲水に薬剤を添加した群と非投与群に分け,更に,ヒト抗DR5アゴニスティック抗体またはヒトIgGの腹腔内投与群の計4群に分けて,薬剤と各抗体をそれぞれ週2回投与しながら,生着した腫瘍の腫瘍径を経時的に計測した.また,生着した各群の腫瘍を回収し,薬剤誘導性にshRNAと共に発現する蛍光タンパク質の発現を確認した.同時に,各群の腫瘍細胞の細胞膜と細胞全体におけるDR5の発現レベルを比較・検討した. その結果,Imp β1ノックダウン細胞を移植したマウス4群のうち,薬剤投与群2群にshRNAが誘導された.更に,薬剤と抗DR5同時投与群のみ,有意に腫瘍の退縮及び消失を見た.この時,細胞膜でのDR5の発現の上昇が観察された. in vivoで腫瘍細胞のImp β1をノックダウンすることが,DR5の核から膜への移行を促してTRAIL/DR5依存性のアポトーシスを誘導し,腫瘍の退縮や拒絶が可能になったと考えられ,今後のがん治療への応用の可能性が期待される.
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