2012 Fiscal Year Research-status Report
次世代ワクチンの開発を目指した抗体産生制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
24590098
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
原田 陽介 東京理科大学, 生命医科学研究所, 助教 (20328579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 允人 東京理科大学, 生命医科学研究所, 教授 (40277281)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ヘルパーT細胞 / サイトカイン / 抗体産生 |
Research Abstract |
ヘルパーT細胞から産生されるIL-4が抗体産生に必須の役割を担っていることは広く認められている事実であるが、TH2細胞とTFH細胞という2つの異なるサブセットの存在が明らかになり、それぞれのポピュレーションから産生されるIL-4の役割およびその産生機構に違いがあるのかという新たな疑問が生まれた。我々はIL-4遺伝子の制御がTH2細胞とTFH細胞では異なり、IL-4遺伝子の下流に存在するCNS2とよばれる領域がTFH細胞で特異的に必要な制御領域であるということを明らかにしてきた。 平成24年度はCNS2領域が活性化されるとGFPを発現するトランスジェニックマウス (CNS2-GFP) を用いて、TFH細胞のIL-4産生がどのような細胞内シグナルによって制御されているかを検討することにした。これまでの研究からTFHのIL-4産生に重要な経路としてNotchシグナル、SLAM-SAPシグナル、TFH細胞分化のマスター転写因子Bcl6を候補として選択し、それぞれのCNS2領域に対する役割を検討した。その中でNotchシグナルの下流で働く転写因子であるRBP-Jを欠損したマウスとCNS2-GFPマウスと掛けあわせた場合、GFPの発現(CNS2の活性化)が激減することが明らかとなった。またRBP-J欠損TFH細胞はIL-4を産生できず、B細胞のIgG1およびIgEのクラススイッチも誘導できなかった。これらの結果はNotchシグナルがCNS2領域の活性化を制御することでTFH細胞のIL-4産生とそれに続くIgG1とIgEの産生を調節することを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TFH細胞におけるIL-4遺伝子発現に必須のエンハンサー領域であるCNS2がどのようなメカニズムで活性化されるのかを明らかにした。我々の結果はNotchシグナルが効率的な抗体産生を誘導するワクチンを開発する際の重要なターゲットの一つであることを示唆している。
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Strategy for Future Research Activity |
CNS2-GFPトランスジェニックマウスを用いてIL-4産生TFH細胞の動態、機能変化、運命を追跡する。具体的にはナイーブT細胞からTFH細胞への分化、その後のメモリー細胞への分化までを追跡し、それぞれの段階での2次リンパ組織中での局在、遺伝子発現、機能を調べていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新規遺伝子改変マウスの作製が計画よりも多少遅れているため、それに伴うマウスの作製、維持管理費用が使用されずに残った。それらを翌年度に請求する研究費と合わせてマウスの作製、維持管理費用に使用する。またこれまでの成果を国内外の学会にて発表するための旅費、そして今後使用頻度が上昇するTfh細胞を精製するための試薬類にも使用していく。
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