2013 Fiscal Year Research-status Report
NFATファミリーの特異的制御メカニズムの解析にもとづく新規免疫制御法の開発
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24590107
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
北村 紀子 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 研究員 (80415603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神沼 修 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主任研究員 (80342921)
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Keywords | NFAT / CN / 新規免疫抑制薬 |
Research Abstract |
免疫制御分子発現に必須の転写因子であるNFATは、5つのファミリー(NFATc1-c4, NFAT5)から構成されている。発現組織や機能の多様性のため、NFATファミリー間の選択的制御は重要であると考えられることから、NFAT制御の選択性を規定するメカニズムを探索した。 前年度に引き続き、NFATとNFAT制御を担うカルシニューリン(CN)との間で見いだした新たな結合領域の解析を行った。NFATc1とNFATc2とで結合選択性が強く見られた領域から同定したNFAT側の18アミノ酸を用いて、NFAT-CN複合体のプロテオーム解析を行ったところ、結合に関与するCN側の13ペプチドを同定できた。また、これらのペプチド間で結合シミュレーションを行って得られた結合様式から変異ペプチドを作製してNFAT-CN結合を調べたところ、NFAT側およびCN側における結合に必須のアミノ酸を見いだした。さらに、NFATc1およびNFATc2のCN結合領域全体を蛍光タンパクとのfusionタンパクとして恒常的に発現する細胞株を樹立してNFATの核内移行を調べたところ、この新たなCN結合領域タンパクはNFATc1およびNFATc2の核内移行を選択的に阻害することが確認された。また、各NFAT遺伝子およびタンパク発現に対する、NFAT転写の調節分子であるWWTR1の役割について、WWTR1のT細胞および血管平滑筋細胞への強制発現またはsiRNA発現による検討を行った結果、内在性NFATc4発現に対するWWTR1の役割はそれほど大きくないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究実施計画での検討課題と結果は以下のようである。 ・新たなNFAT-CN結合領域の同定および機能解析:NFATファミリー間で結合親和性に選択性が認められた新たなNFAT-CN結合領域について、プロテオーム解析から結合に関与するコアペプチドおよび結合に必須のアミノ酸を同定した。また、NFATc1およびNFATc2における新たなCN結合領域およびCN結合領域全体を蛍光タンパクとのFusionタンパクとして発現するほ乳細胞発現ベクターを構築し、NFATc1およびNFATc2のCN結合領域の蛍光FusionタンパクをBHK細胞に恒常的に発現する細胞株を得た。そこに新たなCN結合領域の蛍光Fusionタンパクを一過性に導入して検討したところ、NFATの核内移行に対する選択的な阻害効果を確認できた。 ・各NFAT遺伝子およびタンパク発現に対するWWTR1と各種転写因子の役割: WWTR1強制発現ベクターおよびsiRNA発現ベクターをT細胞および血管平滑筋細胞にそれぞれ導入して検討したところ、内在性のNFATc4発現に対するWWTR1の役割はそれほど大きくないことが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに得られた結果から、各NFATの選択的制御法をより具体的に開発することを目標とし、新たに認められたNFAT-CN結合領域については結晶構造解析を行って、結合様式を明らかにする。これにより得られる結合モデルをもとに、より効果的にNFAT-CN結合を阻害するペプチドの探索を行い、NFAT-CN結合の選択的制御効果や免疫抑制作用を検討する。また、NFAT-CN結合に関与するNFAT側またはCN側のコアペプチドをT細胞および血管平滑筋細胞に導入することで、内在性のNFATによる細胞機能に与える影響を明らかにする。さらに、このNFAT-CN結合に関わる分子間相互作用領域を標的とし、コンピューターシミュレーション技術に基づいたin silico創薬の可能性を検討する。また、NFAT発現制御に関わる転写因子について、NFATプロモーター領域を蛍光タンパクのコード領域に結合した新しいレポーターベクターを作製して293FT細胞に恒常的に遺伝子導入することにより、蛍光レベルを指標としてNFATプロモーター活性を測定できる細胞株を樹立する。そこに様々な転写調節因子に対するsiRNAライブラリーを導入して検討することにより、WWTR1よりも強力かつ選択的にNFATの発現を制御する転写因子を探索する。
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Research Products
(1 results)