2013 Fiscal Year Research-status Report
土壌微生物「細胞性粘菌」由来の薬理活性物質DIFの研究
Project/Area Number |
24590110
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
久保原 禅 群馬大学, 生体調節研究所, 准教授 (00221937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 至 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (60143492)
大島 吉輝 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (00111302)
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Keywords | 細胞性粘菌 / DIF / がん / ミトコンドリア / 糖尿病 / 免疫 / トリパノソーマ |
Research Abstract |
細胞性粘菌Dictyostelium discoideum(以後「粘菌」)は、単純な生活環を有する土壌微生物であり、モデル生物として発生学や細胞生物学的な研究に利用されている。DIF-1とDIF-3は、粘菌の柄細胞分化誘導因子として発見されたが、我々は、DIFsとその誘導体が複数の薬理活性を有することを発見し、DIFsをリード化合物とした薬剤開発を進めている。平成25年度の本研究においては主に以下を実施した。 1.昨年度、我々は、DIFの抗がん作用のメカニズム(DIFの細胞内局在)解析を目的として、蛍光発色体BODIPYを結合した「BODIPY-DIF-3G(緑色蛍光体)」を合成した。今回、さらに「BODIPY-DIF-3R(赤色蛍光体)」を合成し、HeLa細胞を用いて、これらDIF蛍光体の細胞内局在や生物活性を検討した。その結果、①両者はHeLa細胞のミトコンドリアに局在すること、②DIFs同様、BODIPY-DIF-3GはHeLa細胞の増殖を阻害するが、BODIPY-DIF-3Rは増殖に影響しないこと、③DIFs同様、BODIPY-DIF-3Gは、ミトコンドリアの酸素消費を促進し、ミトコンドリアを膨潤させたが、BODIPY-DIF-3Rはそれらに影響しないこと、④膨潤したミトコンドリアはBODIPY-DIF-3Gでは染まるが、BODIPY-DIF-3Rでは染まらないこと等を明らかにした。すなわち、BODIPY-DIF-3sは共に正常ミトコンドリアに局在するにもかかわらず、BODIPY-DIF-3Gは生物活性を発揮し、BODIPY-DIF-3Rは生物活性を発揮しない。これらのことから、生物活性を有するDIF誘導体は、少なくとも一部、ミトコンドリアの活動を乱すことによって機能していることが示唆された。 2.細胞性粘菌におけるDIF-1の作用機序解析と、各種DIF誘導体を用いた「化学構造-活性相関」解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな化合物を合成し、それらを利用してDIFの作用機序解析を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
計画は概ね順調に進んでおり、今後も以下を継続する。 1.各種DIF誘導体の有する複数の薬理活性(抗腫瘍活性、糖代謝促進活性、免疫系制御活性、抗トリパノソーマ活性など)の作用メカニズムの解析。 2.より有効なDIF誘導体の開発。 3.各種モデル動物を用いた、DIF誘導体の薬効と毒性の検討。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度末に予定していた実験計画が延期になり、それに伴って物品購入を延期したため。 25年度末に予定していた実験を26年度に実施するので、その際に物品を購入する。
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Research Products
(8 results)