2012 Fiscal Year Research-status Report
海馬神経細胞のS1P受容体をターゲットとした新規てんかん治療法の開発
Project/Area Number |
24590112
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡田 太郎 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80304088)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | スフィンゴシン1リン酸 |
Research Abstract |
平成24年度に行う予定の実験計画は、(1)シナプス前終末における各種S1P受容体の局在の検討、(2)各種S1P受容体刺激により発動する細胞内情報伝達機構の解析であった。 このうち(1)については、内在的なS1P受容体の局在について特異的抗体を用いて検討すると共に、蛍光タンパク質(GFPあるいはCFP)融合体として発現させるためのコンストラクトを、これまでに知られている5種類全てのS1P受容体(S1P1受容体~S1P5受容体)について作成した。現在その細胞内局在の詳細について検討しているところで、特に各受容体の局在の相違について注目して調べている。 (2)については、作成したS1P受容体-CFP融合タンパク質と3量体型Gタンパク質のγサブユニットにYFPを融合させたコンストラクトを細胞に導入することで、CFPとYFP間のFluorescence Resonance Energy Transfer (FRET)を検出し、その変化を追うことで、各種S1P受容体が細胞のどこで、どのように活性化しているのかを検出できるようになった。現在この活性化部位を可視化できないか検討しているところである。 S1P受容体のリガンドであるS1Pは、細胞内のスフィンゴシンキナーゼによって産生し、細胞外に放出されていわばオートクライン的に作用するため、S1P受容体が活性化している部位を特定することが重要である。また、研究計画にも書いたとおり、S1P1受容体とS1P2受容体は細胞遊走や分泌といった細胞応答の多くを前者は促進的に、後者は抑制的に制御していることがこれまでの研究からわかっている。この背景から、特にS1P1受容体とS1P2受容体の活性化をFRETを用いて時空間的に解析できるよう、現在より簡便に扱うことができる培養細胞(COS7細胞やHeLa細胞)を用いて検討している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに知られている5種類全てのS1P受容体コンストラクトを作成し、それを用いて細胞内での局在を詳細に検討することが可能となった。また、このコンストラクトを用いて、生きた細胞の中で各S1P受容体がどのような時空間的制御の中で活性化しているのかを画像上で可視化することには成功していないが、少なくとも定量的に示すことができるようになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に作成した各種S1Pの活性化を検出するためのツールを用いて、生きた海馬神経細胞が活性化した際にどのタイプのS1P受容体が、どのような時間的スケールで活性化しているのかを、定量すると同時にできれば画像化することが目下の目標である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度には上記の通り、各種受容体の活性化を検出するツールを作成することはできたが、実験計画にあった各種細胞内セカンドメッセンジャーの測定は未だ行っていないため、次年度に繰り越す予算が生じた。この繰越予算については予定通り、主に細胞内セカンドメッセンジャーを測定するための試薬(蛍光指示薬、ラジオアイソトープ、セカンドメッセンジャー定量キット、リン酸化特異的抗体など)の購入費として使用させていただくよていである。
|
Research Products
(1 results)