2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590125
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
月本 光俊 東京理科大学, 薬学部, 助教 (70434040)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
敗血症病態におけるATPシグナリングの重要性と新規治療標的を明らかにするため、1年目では、マクロファージ活性化過程におけるSLC17A9依存性ATP開口放出とP2受容体の関与をin vitro、ex vivo実験において検討した。 まず、ヒト単球由来THP-1細胞およびマウス腹腔マクロファージをリポ多糖(LPS)およびIFN-γ存在下で24時間培養し活性化させた活性化マクロファージをLPSで刺激した結果、10-20分後をピークに培養上清中ATP濃度が増加した。このATP放出は、ATP開口放出の阻害薬を前処置することにより抑制された。さらに、マクロファージにおいてMANT-ATPおよびquinacrineで共染色されるATP含有小胞の存在およびATPを分泌小胞内に取り込ませる輸送体SLC17A9の発現が確認された。さらにSLC17A9をノックダウンすることによってATP放出は抑制された。これらの検討により、LPSによって開口放出を介してATPが放出されることが明らかとなった。 次に、放出されたATPがLPSによるマクロファージの活性化に関与しているか、またどの受容体を介しているかを検討した。マクロファージM1型分化およびLPS誘発IL-6産生は、P2Y11受容体阻害薬およびP2Y11受容体ノックダウンによって顕著に抑制された。これらの結果から、LPSによるマクロファージの活性化へのP2Y11受容体の関与が明らかになった。 以上の検討により、LPSによるマクロファージ活性化過程において、ATPの開口放出およびP2Y11受容体活性化の関与が明らかとなった。 さらに、マクロファージや樹状細胞においてP2X4受容体がP2X7受容体の炎症作用に関与することを明らかにした。次年度は、P2X7, P2X4, P2Y11受容体阻害薬を用いて敗血症モデルへの抗炎症効果を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画に基づき、1年目の研究を問題無く遂行した。すべての実験項目について検討が成功し、抗炎症薬のターゲットとなる受容体として新たにP2Y11受容体およびP2X4受容体を特定することができた。そのため、本研究は計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画であるP2X7受容体に着目した研究に加え、初年度に明らかになった新規標的P2Y11, P2X4受容体にも着目して以下に示す研究を行う。 ① 敗血症患者の重症度とP2X7受容体活性との相関性を検討する。敗血症患者の臨床所見および血液を共同研究先の病院より得たのち、以下の測定を行う。血清中P2X7受容体依存性・非依存性サイトカインレベルをELISAにて測定する(申請者)。血中リンパ球の構成割合および各細胞種のP2X7受容体発現量をフローサイトメトリーによって測定する(研究協力者:Pablo Pelegrin博士)。 ② 急性敗血症モデルとしてLPS投与によるendotoxin shockモデルマウスを用いて検討する。多量のLPSをマウス腹腔に投与し、1~24時間後に血液を採取する。また腹腔内も生理食塩水で洗浄し、サンプルとする。血清中および腹腔洗浄液中のサイトカイン濃度をELISAにて測定する。このモデルを用いてP2X7, P2X4, P2Y11受容体阻害薬の影響を検討し、またP2X7受容体ノックアウトマウス、SLC17A9ノックアウトマウスでの変化を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(9 results)