2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590125
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
月本 光俊 東京理科大学, 薬学部, 講師 (70434040)
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Keywords | 敗血症 / 炎症 / マクロファージ / 国際情報交換 スペイン / P2X7受容体 / P2Y受容体 / ATP |
Research Abstract |
セプシス(敗血症)とは高サイトカイン血症状態の全身性炎症反応症候群(SIRS)に感染症が重なった病態であり、多臓器不全や敗血症ショックにより高い死亡率を示し、開発国において死因の上位にランクされている。しかしながら、そのメカニズムは極めて複雑なことから未だに有効な治療法が確立されていない。その治療法を開発するため、1年目は、セプシスの治療標的としてP2受容体の可能性を検討し、新たにP2Y11受容体阻害薬が急性炎症反応を抑制出来ることを明らかにした。 一方、P2X7受容体は、免疫細胞に多く発現し、炎症性サイトカインの産生に重要な役割を担っていることが知られており、これまでに我々はP2X7受容体の敗血症への関与を示唆する予備データを得ているため、本年度は敗血症へのP2X7受容体の関与について検討を行った。敗血症モデルとしては、新たに慢性敗血症モデルである盲腸結紮穿孔モデル(CLP)を用いた。 CLPセプシスモデルマウスにおいて持続的な体重の減少、脾臓重量の有意な増加がみられた。また、血清中ALT活性、クレアチニン値の増加がみられたことから、肝臓、腎臓での障害が示唆された。血清中・腹腔洗浄液中では、IL-6、IL-1β、IL-18産生量の増加が認められた。そこで、P2X7-KOマウスを用いてセプシス病態モデルマウスを作製したところ、Wild type マウス(WT)では手術4日後の生存率が50%であるのに対し、P2X7-KOマウスでは生存率が100%であった。このセプシス病態のP2X7-KOマウスでは、血清中・腹腔洗浄液中のIL-6、IL-1β、IL-18産生量も低いことが確認された。これらの結果から、セプシス病態におけるP2X7受容体の関与が示唆された。現在、P2X7受容体阻害薬によるセプシス病態抑制効果について検討中であり、病態抑制効果の傾向が認められている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまで急性・慢性セプシスモデルマウスを用いて、P2Y11受容体のみならず、P2X7受容体の関与も明らかにした。現在、P2X7受容体阻害薬による検討も順調に進行しており、予備的データとして病態抑制効果が確認され始めている。このように、本研究は当初の計画以上に順調に進行し、今後の展開が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
P2Y11およびP2X7受容体阻害薬を急性・慢性セプシスモデルへ投与し、生存率、体重、血中サイトカイン量、肝炎マーカー、腎炎マーカーの測定を行い、その病態抑制効果について検討を行う。また、副作用についても検討を行う。
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Research Products
(3 results)