2013 Fiscal Year Research-status Report
細小血管内皮細胞におけるインスリン抵抗性形成とその分子機構の解明
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24590127
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
小林 恒雄 星薬科大学, 薬学部, 教授 (90339523)
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Keywords | 血管 / 糖尿病 / インスリン抵抗 |
Research Abstract |
1. 前年度において、インスリン抵抗を呈した胸部大動脈において、内皮細胞のAkt/eNOSシグナル伝達を抑制することにより、糖尿病性血管内皮障害を増悪させていることが明らかとなった。本年度において、Akt/eNOSシグナル伝達とインスリン受容体の関係について更に検討を行った。その結果、インスリン抵抗時における 内皮依存性インスリン弛緩反応の減弱は、IRS1/eNOS/NO pathway の障害に起因しており、アンジオテンシン2/PTP1B pathway の恒常的活性化により引き起こされていることが明らかとなり、以上の結果は、 アンジオテンシン阻害薬、新規 PTP1B inhibitor の開発は、インスリン抵抗時における血管障害の新しい治療戦略を提唱するものである。 2. インスリン抵抗モデルラットにおいて血圧の増加や血管収縮増加が認められる。ウリジンアデノシンテトラフォスフェート(Up4A) は、その構造体にプリンとピリミジンをもつ近年発見された新規内皮細胞由来収縮因子であるが、血管に対する反応性や、病態時における反応性に関する報告は少なく、糖尿病病態時の反応性に関しては不明である。そこで、インスリン抵抗型2型糖尿病モデルラット腎動脈における Up4Aの収縮反応性に関し、特に、一酸化窒素 (NO)と、血管収縮性prostanoidシグナルとの関連性について検討を行った。その結果、インスリン抵抗群によるUp4A の収縮力の増大は、P2受容体の活性化による血管収縮性prostanoidsを介したシグナル亢進が関与している可能性が示唆され、P2受容体阻害薬の開発は、インスリン抵抗を生じた血圧増加、血管収縮異常の治療方法として、新規に提唱できると考えられる。平成24、25年度の結果から、アンジオテンシン阻害薬、PTP1B inhibitor や、GRK2の抑制がインスリン抵抗糖尿病性血管障害の治療戦略となりえることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究に引き続き、ラット及びマウスにおける全身の血管を用いてスクリーニングを行った。その中から、インスリン抵抗を呈した胸部大動脈において、アンジオテンシン阻害薬、PTP1B inhibitorにおいて、インスリン抵抗時における血管障害の新しい治療戦略を提唱した。更に、腎血管において、P2受容体の活性化による血管収縮の異常がインスリン抵抗時において認められ、この受容体の阻害薬は、血管収縮異常の新しいターゲットとしてなりうることを報告することが出来た。また、細小血管における実験を行い、更なる詳細な検討を行っているが、論文発表、学会発表に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
GRK2, PTP1Bタンパク質について、細小血管を用いて、更にin vitro, ex vivo的実験を下に検討する。内臓脂肪への影響を核磁気共鳴イメージング装置 (MRI) を用いて比較検討すると共に、骨格筋毛細血管への拡張能をプレッシャーマイオグラフ等を用いて検討し、その後、腸間膜動脈、骨格筋細動脈などの血管、肝臓や脂肪組織等を摘出し、血管内皮細胞機能や遺伝子発現、タンパク質活性を検討する。in vivo より因子解析を行い、糖尿病罹患期間・程度とインスリンを含む様々な薬物投与の効果、血糖コントロール、angiotensin、脂質、血中インスリン値、などの血液因子の影響についても情報提供する。また、同時にsiRNA を作成し、ラット大動脈血管内皮細胞、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞、ヒト皮膚微小血管内皮細胞などを用いて、新規タンパク、もしくはNotch1、Foxo1等の転写因子のノックダウンを試み、NO 産生やAkt活性、同時にGRK2、PDK1、PYK2、Src、IRS のリン酸化の検討を行いインスリンシグナルの影響を、a)免疫沈降-ウエスタンプロット法を用いてタンパク相互作用、b) 二次元電気泳動を用いて、プロテオソーム解析等を行いつつ、新規タンパク質の検討をする。細小血管である腸間膜動脈床の環流もしくは第2-3分岐を用いarrestinとAktのcomplexを比較検討し、arrestin, Akt, GRK2 などのタンパク質とプロテオソーム解析等を大動脈、腸管膜動脈床を用いて検討する。以上の実験から、種々な糖尿病モデルの細小血管機能とAkt/NOS pathway を中心としたインスリン抵抗における新規生理機能やsignal pathwayの解明を行い、治療効果、予防効果を提供する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の購入消耗品は、PCR関連試薬、Western blotting関連試薬、各種抗体、オリゴヌクレオチド、siRNA、plasmid発現ベクター、その他分子生物学用試薬、糖尿病ラット、糖尿病マウスである。高価な分子生物学用の試薬(RNA抽出キット、PCR関連試薬、Western blotting関連試薬、オリゴヌクレオチド、DNA polymerase、発現ベクターなど)を用いて研究を行う予定であったが、一部の実験において、高価な動物を用いた実験から、培養細胞への代替実験に成功したため、当初予定していた購入動物金額は次年度に使用する。 購入消耗品は、PCR関連試薬、Western blotting関連試薬、各種抗体、オリゴヌクレオチド、siRNA、plasmid発現ベクター、その他分子生物学用試薬、糖尿病ラット、糖尿病マウスである。高価な分子生物学用の試薬(RNA抽出キット、PCR関連試薬、Western blotting関連試薬、オリゴヌクレオチド、DNA polymerase、発現ベクターなど)を用いるが各試薬は2-3万円、1 kit 10万円以上するものもある。また、siRNA に関しては、1設計合成を行うのに5万円以上かかり、幾つかの設計を必要とする。更に、実験初期段階においては、安価な薬物によって誘導するストレプトゾトシン等を用いた糖尿病動物を用いるが、実験後期においては、正確性信憑性を得るために高価な自然発症糖尿病動物(db/db マウス、ob/obマウス)を必要とする、これらの動物は、1匹1-2万円する。
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Research Products
(7 results)