2012 Fiscal Year Research-status Report
抗体の交差反応性を利用する新しい医薬リード探索法の開発
Project/Area Number |
24590139
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮本 智文 九州大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (40182050)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 抗原抗体反応 / 交差反応 / ELISA / モルヒネ / 海洋無脊椎動物 / 海綿 |
Research Abstract |
平成24年度は、既に作製したanti-morphine MAbの交差反応性を利用した、競合的ELISAを開発し、2009年沖縄県八重山諸島にて採集した95種類の海洋無脊椎動物について、交差反応性を示す化合物の探索を行った。その結果、3種類のPetrosia sp. 海綿より、3種の新規ポリアセチレン、meso-adociacetylene D, (3R,28R)-adociacetylene D, 3-ketoadociacetylene Dと5種の既知ポリアセチレン、adociacetylene A, (3S,28S)-adociacetylene D, petrosynol, 15,16-dihydropetrosynone, 3,28- diketopetrosynol およびaragusterol A, aragusterol Dを単離した。また、海綿Haliclona sp. より活性化合物としてPapuamine およびHaliclonadiamineを同定した。交差反応性機構を詳細に解析した結果、ポリアセチレン類は抗原として用いたmorphineに直接結合し、抗原-抗体反応を阻害することが明らかとなった。また、Papuamine およびHaliclonadiamineについては、ELISAにおいてmorphineに競合することが明らかとなった。さらに、anti-morphine MAbの再作製を行い、morphineとnaloxoneの両抗原を認識し、抗体を産生するハイブリドーマを作製し、約20種の抗体産生クローンを分離した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた通り、抗体の交差反応性(抗原―抗体反応)を利用することで、新しい機能を有する天然有機化合物の発見を可能とした。このことより、本手法の有効性が実証された。また、既に作製したanti-morphine MAbの抗原認識特性に問題があると判断し、新たに調製したmorphine-BSAコンジュゲートを用い抗体の再作製を行った。再作成ではmorphineとnaloxoneをスクリーニングに用いることで、より本研究目的に適応したMAbの調製が可能となった。従って、平成24年度の達成度はほぼ満足できるものであった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に本スクリーニングにより発見したPapuamine およびHaliclonadiamineはELISAにおいてmorphineと競合することが示唆された。従って、両化合物はオピオイド受容体においてもmorphineと競合し、アゴニスト、アンタゴニスト活性を有することが期待される。平成25年度はPapuamine およびHaliclonadiamineのオピオイド受容体バインディングアッセイを行う。さらに、再作成したanti-morphine MAbを用いた化合物スクリーニングを行う。また、morphineに直接結合するポリアセチレン類については構造活性相関を検討すると共に専門誌への投稿を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度、研究遂行に新たな設備は必要としない。平成24年度と同様ELISA用試薬・器具、ターゲット化合物の抽出、分離、精製用試薬、構造解析に伴う試薬、NMR装置の冷媒である液体ヘリウム・窒素を必要とする。また、1次スクリーニングで有効性の確認された海洋生物採集のための沖縄、琉球諸島材料採集旅費および試料動物の運搬費を必要とする。また、最終年度実施予定であった、オピオイド受容体バインディングアッセイや薬理活性評価のための外部委託費を必要とする。
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