2013 Fiscal Year Research-status Report
抗体の交差反応性を利用する新しい医薬リード探索法の開発
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24590139
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮本 智文 九州大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (40182050)
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Keywords | 抗原抗体反応 / 交差反応 / ELISA / モルヒネ / 海綿 / ビスアセチレン / アルカロイド |
Research Abstract |
平成25年度は、平成24年度に実施したanti-morphine MAb交差反応性を利用した、競合的ELISAにより選別したPetrosia sp., Callyspongia sp. 海綿より単離した、3種の新規ポリアセチレン、meso-adociacetylene D, (3R,28R)-adociacetylene D, 3-ketoadociacetylene Dと5種の既知ポリアセチレン、adociacetylene A, (3S,28S)-adociacetylene D, petrosynol, 15,16-dihydropetrosynone, 3,28- diketopetrosynol を用いた構造活性相関を検討した。その結果、活性発現に必須構造がアルキル鎖(炭素数8以上)の末端に4-ene-1-yne-3-oneユニットを有することを明らかにした。更に、この情報を基に、分子両末端に4-ene-1-yne-3-oneを結合したC20のビスアセチレンを合成し、競合的ELISAにより活性を評価した結果、天然物よりも強力な活性を確認した。更に、この合成誘導体を用い、MAb結合阻害様式判別試験を行った結果、合成誘導体が抗体ではなく、抗原であるmorphineに直接結合することで、抗原-抗体反応を阻害するという興味ある知見を得た(現在論文投稿準備中)。また、海綿Haliclona sp. より活性化合物として単離したPapuamine およびHaliclonadiamineについては、各種試験に供する収量が低いため、新たに採取した同海綿より原料供給を行った。更に、上記2種のアルカロイドについてMAb結合阻害様式判別試験を行った結果、結合阻害様式はビスアセチレン類とは異なり、抗体であるanti-morphine MAbに作用し、抗原-抗体反応を阻害することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた通り、morphineに直接結合し抗原-抗体反応を阻害するビスアセチレン類と抗体であるanti-morphine MAbに作用し抗原-抗体反応を阻害する環状アルカロイド2種を見出した。ビスアセチレン類については,目的とする交差反応性を示す化合物ではなく、morphineに作用することから、新しいタイプのmorphine拮抗剤やモルヒネ中和剤としての利用も期待できる。更に、化学合成による原料供給も確立しており、予想外の展開が期待できる。また、アルカロイド2種については、まだ、MAbに抗原として認識されている直接の実験結果を得ておらず、平成26年度、オピオイド受容体に対する親和性試験を実施しなければならない。以上、平成25年度の達成度はほぼ満足できるものであった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は本スクリーニングにより発見したPapuamine およびHaliclonadiamineについて、オピオイド受容体アゴニスト、アンタゴニスト活性を評価する。また、morphineに直接結合するビスアセチレン類については動物実験により、抗モルヒルヒ作用を検討すると共に、モルヒネ-ビスアセチレン結合様式を解明することで、モルヒネの検出試薬としての利用やモルヒネ中毒の治療薬としての開発に関する基礎的知見を収集する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末、当該年度所要額残高\44448を把握していたが、実験計画において必要とする経費に満たずなかったことから、次年度に繰り越した。 繰り越し分は構造解析に使用するNMR用冷却溶媒費として使用する。
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