2014 Fiscal Year Annual Research Report
抗体の交差反応性を利用する新しい医薬リード探索法の開発
Project/Area Number |
24590139
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮本 智文 九州大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (40182050)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | morphine / monoclonal antibody / cross reactivity / polyacetylene / petrosynone / polyacetylene |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、平成24及び25年度に海洋無脊椎動物より発見した、anti-morphine MAb交差反応性を示すポリアセチレン系化合物について、抗原モルヒネおよび抗モルヒネ抗体に対する親和性メカニズムの解析を行った。まず、ポリアセチレン系化合物については、天然物であるため、その収量が低いことから、化学合成による供給を行った。市販の1,12-dodecanediolをPCC酸化し得られたジアルデヒド体を得た。このジアルデヒド体とPh3=CHCHOのWittig反応により1-al-2-en体を得た。このアルデヒド体とエチニルマグネシウムブロミドをGrignard反応し、炭素鎖20、分子両末端に”1-yn-4-en-3-ol”ユニットを有するビスアセチレンを合成した。この化合物をベースに酸化体”1-yn-4-en-3-one”、”1-yn-3-one”体の他、炭素鎖の異なる誘導体を合成した。また、出発原料にdodecanolを使用し、関連するモノアセチレン体も合成した。合成した11種のアセチレン系化合物について、anti-morphine MAb交差反応性を確認した結果、炭素数20、分子両末端に”1-yn-4-en-3-one”を有するポリアセチレンは、天然物である15,16-dihydropetrosynoneや3,28-diketopetrosynolと同等の交差反応性を示した。平成25年度の研究成果により、これらポリアセチレン系化合物はモルヒネ抗体ではなく、抗原であるモルヒネに親和性を示す事が推定されていたことから、この結合様式を、核磁気共鳴スペクトル(NMR)により解析した。10microMモルヒネのD2O溶液に2,5,10microMのadociacetylene Aのアセトン溶液を添加し、1H-NMRを測定した。その結果、モルヒネの窒素原子に結合するメチル基、メチン基、及び二重結合のプロトンに化学シフト値の変化が確認された。このことから、ポリアセチレン系化合物はモルヒネのC,D環部に直接結合することが示唆された。本研究成果は、上記ポリアセチレン化合物がモルヒネ中毒治療薬開発への可能を示唆するものである。
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