2013 Fiscal Year Research-status Report
創薬イノベーションの創出を目指した抗がん剤開発とその作用機序解明
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24590140
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
鈴木 由美子 上智大学, 理工学部, 准教授 (20295546)
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Keywords | 抗がん剤 / 創薬化学 |
Research Abstract |
がん細胞増殖阻害活性を持つキナゾリン誘導体PVHD0121の活性作用機序を解明し、新規抗がん剤の開発に向けた構造最適化を行うことを目的として、以下の1)、2)を検討した。 1)これまで合成した誘導体のうち最も活性の高いPVHD303を合成し、光学分割した。 合成は以次の経路にて行った。4-ジクロロキナゾリンの4位を含窒素複素環式カルベン触媒によるアロイル化反応により4-アニソイルキナゾリンとした後、Grignard反応により4位置換基にメチル基を導入した。その後、一段階の反応にてPVHD303を数十ミリグラム単位で合成した。分析用HPLCキラルカラムを用いて光学分割の条件を検討し、キラルカラムの種類および溶媒系を決定した。 2)構造活性相関研究のため、誘導体合成を行った。 各種置換アントラニル酸とホルムアルデヒドとを反応させ、4-オキシキナゾリン類を合成した。オキシ塩化リンを用いる4位のクロロ化と続くアロイル化、Grignard反応によりPVHD化合物が合成できた。また、各種アントラニル酸と尿素との反応にて合成される2,4-ジオキシキナゾリン類からの誘導体合成も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成24年度から本研究課題を開始したが、24年4月に勤務先を異動した。本課題の遂行に必要なスペース、研究設備や研究協力者が十分に整うのに二年を要したため、研究の進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
高抗がん活性な誘導体PVHD303を再度合成し、中圧分取用キラルカラムを用いて分割する。PVHD303分子構造の一部に臭素が置換した誘導体PVHD303Brも光学分割し、エナンチオマーのX線結晶解析およびCDスペクトルを測定する。その後、接触還元法により脱臭素化を行い、得られた光学活性PVHD303のX線結晶解析およびCDスペクトルを測定する。これら機器データを比較することで、より抗がん活性の高いPVHD303エナンチオマーの立体を決定する。 キナゾリン環の2位および5-8位に置換基を持つ誘導体合成も引き続き進め、その生物活性の検討を行う。 動物実験に付すためのグラムスケールでの合成も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「現在までの研究の達成度」の項にも記載したように、24年4月に勤務先を異動した。本課題の遂行に必要なスペース、研究設備や研究協力者がこれまで十分に整っていなかったため、研究進捗が遅れた。これに伴い、使用額が計画と比較し少額となった。 実験スペースの拡張に伴い、実験器具・試薬を収める場所も増えた。実験器具などの充実を図り、研究の効率を目指したい。
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