2013 Fiscal Year Research-status Report
金属酵素RNAポリメラーゼを標的とする抗インフルエンザ薬のSBDD
Project/Area Number |
24590141
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
石川 吉伸 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (00305004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 英志 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (70433208)
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Keywords | ジケト酸 / インフルエンザ / 阻害剤 / 金属酵素 / RNAポリメラーゼ / SBDD / 分子ドッキング / 結晶構造 |
Research Abstract |
本研究の目的は、インフルエンザウィルス由来の金属酵素RNAポリメラーゼ内のエンドヌクレアーゼ(PAN)を標的として、その活性部位の金属イオンにキレートし阻害するジケト酸誘導体の構造基盤医薬品創製である。平成25年度では、24年度に合成したビフェニルジケト酸誘導体の単結晶化とX線結晶構造解析、さらにさらなる阻害能の増強を目指した新規ビフェニルジケト酸の分子設計と合成を行った。 24年度に合成した化合物の合成中間体及び最終生成物に関して単結晶化を試み、単結晶が得られた化合物のX線結晶構造解析を行うことでその立体構造を明らかにすることが出来た。 24年度に合成した化合物のうち,2位あるいは2’位にカルボキシル基をもつビフェニルジケト酸が最も阻害能が高かった。その分子ドッキングの結合様式から、ビフェニル基の3位の水素原子とPANの活性部位の表面との間に重原子が収まるほどの空間が存在することが示唆された。そこでファンデルワールス接触を高めることで阻害能が増強することを期待し、2’位にニトロ基あるいはカルボキシル基の水素結合受容基を持ち、3位にメチル基、フルオロ基、クロロ基を導入したビフェニルジケト酸を設計し合成した。オルト位にメチル基、フルオロ基、クロロ基とパラ位にブロモ基を有するアセトフェノン誘導体から鈴木–宮浦カップリングにより得たビフェニル誘導体を合成し、クライゼン縮合によりシュウ酸ジエチルを導入後,酸で加水分解することにより目的とするビフェニルジケト酸誘導体を得た。 また,ジケト酸のアナログとしてN-ヒドロキシイソキノリンを合成し、その単結晶化とX線結晶構造解析から、それはケト型で存在することを明らかとした。 さらにPANと阻害剤との共結晶化に適した試料を大量に調製するべく、エンドヌクレアーゼを効率よく発現・精製する最適条件の探索を行い、確立することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
合成はほぼ順調に行えているが、それらの阻害活性の測定と阻害剤との共結晶化が未完了である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)活性部位の表面との隙間を埋めるよう分子設計・合成されたジケト酸誘導体の阻害活性評価を行う。 2)これまで合成したジケト酸誘導体は酵素の活性部位において2つのMnイオンにキレートすると考えられるので,Mnイオン,ジケト酸誘導体及び酵素の共結晶化を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
酵素阻害能を増強させるべくジケト酸誘導体の合成を行ったが,酵素阻害能の評価が予想より進行しなかった。またジケト酸誘導体は酵素の活性部位において2つのMnイオンにキレートすると考えられるので,Mnイオン,ジケト酸誘導体及び酵素の共結晶化を行ったが、単結晶が得られず、次年度に予定より多くの助成金を必要とすることが判明したため。また時年度の論文掲載費が予想よりも多く要することがわかったため。 酵素発現・精製用試薬購入費,酵素阻害活性測定用試薬購入費,結晶化用試薬購入費,論文掲載費として研究費を使用する。
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