2012 Fiscal Year Research-status Report
天然物をリード化合物とする糖尿病薬及び抗血栓薬の創製研究
Project/Area Number |
24590145
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
伊藤 喬 昭和大学, 薬学部, 教授 (40159885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金光 卓也 昭和大学, 薬学部, 講師 (10372913)
永田 和弘 昭和大学, 薬学部, 准教授 (20208010)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 抗糖尿病薬 / 抗血栓薬 / 海洋天然物 / 不斉全合成 / グルコシダーゼ阻害 / 有機触媒 |
Research Abstract |
新規アルカロイドであるschulzeine、penasulfate、抗血栓作用を持つSMTP-7、およびこれらの誘導体を合成中である。必要なキラル中心を構築するため、環状イミンに対する不斉求核付加反応の開発を行った。有機金属触媒、有機触媒を用いる求核付加反応について検討し、効率の良い合成法を得た。続いて、複素環と長鎖脂肪酸部分を入れ替えた各種の誘導体を合成し、α-グルコシダーゼ阻害活性の検討を行う。活性とドッキングの相関を検討することによって、より活性の高い新規化合物のデザイン、合成を行う。SMTP-7の合成については不斉ジヒドロキシル化反応を鍵反応とする合成経路を検討している。これによる全合成達成を目指す。また、オルニチンの両端に様々な抗酸化剤、抗炎症剤を結合させたアナログ化合物を合成し、活性発現に必要な構造要素を検討している。 イソキノリンに関しては、tol-BINAP、 SEGPHOS、DTBM-SEGPHOS等のリン配位子で修飾した銅触媒を用いることにより、1-アリル付加体が8高選択的に得られることを明らかにした。 新規触媒の開発を検討し、得られた生成物を利用して、schulzeine A、penasulfateの複素環部分に関して不斉合成を行う。 SMTP-7のフラボノイド骨格合成を検討している。現在まで、5置換ベンゼン環部分の構築に関して、Diels-Alder反応により、必要な官能基を導入できることを確認している。この後、不斉ジヒドロキシル化によるキラル中心の導入を行った後、目的構造を得る。 SMTP-7は全く新しい作用を示す化合物であるため、構造のどの部分が活性発現に関与しているか明らかでない。また、医薬品として用いるには分子量が867とやや大きい。このため、全合成達成と共に、各種の誘導体を合成して必要構造の同定を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
penasulateの不斉全合成に成功した。また、schulzeineの複素環骨格については、キラル中心を触媒的不斉合成で作り分けることに成功し、天然のschulzeine優等体全てを作り分ける方法を既に確立している。schulzeineの側鎖に関しては、各種の炭素-炭素結合形成反応を利用して、必要なキラル中心を導入しながら合成を行っている。現在まで、schulzeine Aの側鎖合成を後2段階のところまで完成し、またschulzeine Bについても、あと一回の炭素-炭素結合形成により、必要な炭素数を全て結合させることができる。 生理活性の検討についても、penasulfateを用いて、in vitroでのグルコシダーゼ阻害活性を検証し、市販の酵素阻害薬であるアカルボースよりも強く酵素阻害を発現することを見いだした。これにより、海洋天然物としてpreliminaryな報告しか行われていなかったこれら化合物の生理活性を、合成化合物として検証することができた。本活性測定系を利用することによって、今後各種のハイブリッド化合物を合成し、活性を測定する基盤を確立することができた。 SMTP-7に関しては、五置換ベンゼン骨格の合成と、それに引き続くキラルな二環性骨格の合成まで達成することができた。クライゼン転移を用いた置換基導入、および、Sharplessの不斉ジヒドロキシル化反応によって、骨格合成のための鍵段階をクリアすることができた。今後、側鎖のイソプレノイド鎖を導入することによって本化合物の全合成を達成したい。 SMTP-7の活性測定に関しては、既に共同研究者により方法論が確立されており、化合物が合成でき次第、活性を検討することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度以降の研究計画として、まず、グルコシダーゼ阻害活性を有する化合物の構造活性相関を検討する。前年度からの研究を継続して実施すると共に、活性発現の本体を解明するための研究を実施する。具体的には、立体構造が明らかとなっているグルコシダーゼを用い、阻害活性を検討すると共に、ドッキングシミュレーション、あるいはX線結晶解析を行うことによって、schulzeine等の特異な構造と、酵素活性中心の相互作用について具体的な情報を得ることを目的とする。既に、酵母グルコシダーゼとのドッキングでは、複素環部分が活性中心に取り込まれ、脂肪酸部分の半ばがタンパク外部に露出している推定構造を得ている。これらの情報を元に、側鎖脂肪酸を短くした天然物アナログを合成している。また、活性中心以外での相互作用であることを考慮し、天然物共存下でのグルコシダーゼ結晶構造解析を試みる予定である。また、複素環骨格と脂肪酸側鎖の様々な組み合わせて、天然に存在しない類似化合物を合成し、これらの活性測定を行う。また、活性の変動と、酵素との相互作用との相関関係について検証し、活性に必要な部分構造を追求する。そして、天然物以上に活性の高い化合物の創製を目指す。 SMTP-7の活性検討については、既に昭和大学薬理学教室との共同研究により、血栓モデルマウスを用いたアッセイ系を用いて天然物及び各種誘導体の抗血栓活性を測定する系が確立している。この薬理作用は、旧来報告例のないものであるため、化合物の構造を種々変更しながら、標的との相互作用を検討する。更に、ここから得られる情報を元にして構造を精密化したアナログ合成を行い、実用的な活性物質の創製に結びつけたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題を実施するためには、NMR、MS、IR等の各種スペクトル、および光学活性体を分離するためのHPLC用キラルカラム等が必須である。各種の機器分析施設は大学に完備されており問題はない。従って、大型の機器を購入する予定はない。 キラルカラム等については、基本的な種類は既に筆者等の研究室に備わっているが、今後、研究の進捗に伴い、対象となる光学活性体に適した分離カラム等を購入する必要がある。合成の実施、活性測定のための試薬、及び器具の購入が出費の主体となる。 研究分担者は何れも筆者の研究室に属しており、協力して研究を進めていく上で何の問題も存在しない。良い成果が出せるよう力を合わせて行きたい。 本研究に関わる成果を学術誌への発表、学会での発表等を通じてより多くの人々に知ってもらいたいと考えている。そのため、学会参加、学術誌発表のための費用が発生する。
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Research Products
(7 results)