2012 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病治療薬を目指したアミロイドベータを加水分解する抗体の開発
Project/Area Number |
24590151
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
田口 博明 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 准教授 (20549068)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 医薬品化学 |
Research Abstract |
当該年度は水分子を模倣または捕獲できる構造を持ったリン酸ジエステル誘導体の合成を行った。水分子を模倣した構造を有するリン酸ジエステル誘導体は、ヒドロキシ基(水分子を模倣)が触媒抗体の活性中心近傍に配置されるように、リン酸ジエステルとヒドロキシ基間の距離を考慮して分子設計を行った。適切な空間配置を探索するため、リンカー部分の検討を行った。水分子を模倣した部分にセリンやトレオニンなどのヒドロキシ基を持ったアミノ酸を用い、リンカー部分にサルコシンを用いた。リジンを模倣したジフェニルリン酸部分の合成はOleksyszyn反応を用い構築した。 水分子を捕獲できる構造を有するリン酸ジエステル誘導体の分子設計は、炭酸脱水酵素やアミノペプチダーセに代表される金属酵素の活性中心を模倣するように行った。環状ポリアミンは人工金属酵素の開発に用いられ、種々の金属イオンと安定な配位結合を形成することが知られている。それら環状ポリアミンの金属錯体のaxial位に補足された水分子が、加水分解反応を触媒していることが報告されている。そこで、水分子を捕獲できる構造部分に金属酵素の活性中心を模倣した構造である、環状ポリアミン(サイクレン、サイクラムなど)を用い合成を行った。 これら合成された中間体は必要に応じてカラムクロマトグラフィーで精製を行い、NMR、質量分析にてその構造確認を行った。最終脱保護を行った後、ジアステレオマーをHPLCを用い分離し、目的物を得ることに成功した。目的物の純度はHPLCにて検討し、構造確認は質量分析にて行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
収率の低い反応があり、十分な中間体を得るのに時間がかかっている。それゆえ、水分子を模倣した構造を有するリン酸ジエステル誘導体の合成において、炭素鎖の異なるアルコールを含んだ誘導体の合成が完遂できなかった。完遂にむけて現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当該年度に達成されなかった異なるアルコールを含んだ誘導体の合成を完遂させる。また、該当年度に合成されたリン酸ジエステル誘導体の構造解析を行う。水分子を模倣した構造を有するリン酸ジエステル誘導体のX線回折測定を行うため、単結晶の作成を行う。単結晶の作成は蒸気拡散平衡法などを用いて、結晶化することにより得る。得られた単結晶はX線構造解析装置を用い回折測定を行い、リン酸ジエステル誘導体の立体構造を精査する。 当該年度に得られた水分子を捕獲できる構造を有するリン酸ジエステル誘導体は、種々の金属塩(Cu,Mg,Mn,Zn)と反応することにより、錯体化合物を合成する。錯体化合物の組成は元素分析、ICP質量分析計などを用い分析する。得られた錯体化合物の構造解析をX線回折法にて行う。錯体化合物の単結晶はリン酸ジエステル誘導体と金属塩を水中で混合し、蒸気拡散平衡法などを用いて、結晶化することにより得る。得られた単結晶はX線構造解析装置を用い回折測定を行い、錯体化合物の立体構造を精査する。 合成されたリン酸ジエステル誘導体のトリプシン阻害活性を測定し、構造解析の結果(リン原子とヒドロキシ基または水分子の酸素原子の直線距離)とトリプシンの阻害活性の相関関係から、リン酸ジエステル誘導体の評価を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アルコールを含んだリン酸ジエステル誘導体の合成に必要な試薬(アミノ酸誘導体、アルコール誘導体、縮合試薬、有機溶媒など)、器具(フラスコ,HPLCカラムなど)など。 大環状ポリアミン含んだリン酸ジエステル誘導体と金属との錯体化合物の合成に必要な試薬(金属塩、有機溶媒など)、器具(フラスコ、マイクロプレートなど)など。 得られた錯体化合物の構造解析に必要な試薬(結晶化試薬、有機溶媒など)、器具(フラスコ、マイクロプレートなど)、構造解析システムなど。 合成された誘導体を評価するための酵素活性測定に必要な試薬(基質、有機溶媒など)、(ピペット、マイクロプレートなど)など。
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