2012 Fiscal Year Research-status Report
血中安定性の向上とEPR効果を付与したヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の開発と応用
Project/Area Number |
24590152
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
長岡 康夫 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (90243039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 喜之 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (90350222)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤 / HDAC / EPR効果 / ナノ粒子 / SAHA / Vorinostat / PEG / 抗がん剤 |
Research Abstract |
我々は抗がん剤としてのヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDI)候補化合物の創製と探索を行うと同時に、HDIのエピジェネティックな遺伝子発現制御効果を利用した機能分子の創製に取り組んできた。今後HDIが固形がんを標的とした抗がん剤として広く適用されるためには、現状の問題点を克服する、新たな展開が必須となる。本研究では、本剤の弱点である血中安定性の改善とEPA効果の併授を期待した、高分子キャリア-HDI複合体を合成し、その効果を評価すること、また、その発展型として、HDIのがん細胞特異的な遺伝子発現増強効果を加味した、高分子遺伝子キャリア-HDI複合体による、がんの遺伝子治療との相乗効果の可能性を探ることを目的としている。 平成24年度は高分子キャリア-HDI複合として、平均分子量が約40,000のポリエチレングリコール4arm-PEGを臨床で利用されているHDIである、Vorinostat (SAHA)に縮合させた4arm-PEG-SAHAを合成しその活性と物性を評価をした。4arm-PEG-SAHAはSAHAと4arm-PEG-NHSをDMF中で縮合し、ゲル濾過で精製することにより、98.8%の収率で得ることができた。生成の確認は、NMRによるプロトン数の比の検証と、ケミカルシフトの遷移の観測により行った。 4arm-PEG-SAHAは培養したがん細胞に対して、SAHAのみの時に比べて高い細胞毒性を示し、in vitroでの効果が認められた。 4arm-PEG-SAHAの血中安定性等の物性を評価するに当たり、質量分析法(ESI-MSMS)による定量法を確立した。この手法を用いて4arm-PEG-SAHAの血清中の安定性を評価したところ、半減期1分以内で加水分解されてしまうことが明らかになり、注射剤としての本化合物の利用が困難であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は高分子キャリアとして4-arm-PEG を用いた4-arm-PEG-SAHAの合成に成功し、in vitroでの活性評価と血清中の安定性などの物性評価を行うことができた。薬物動態の評価には微量の薬物の定量が欠かせないのだが、通常、高分子の製剤の定量は困難な場合が多い。今回、本薬剤の定量法として、ESI-MSMSを用いた方法を確立し、血液中等の濃度の効率的な決定を可能にすることができた。 本薬剤は、培養がん細胞に対して、有意な増殖抑制活性を有し、有効であると思われたが、血清中で4-arm-PEGとSAHA間のエステル結合が容易に加水分解されることがわかり、静脈投与した場合に、SAHAが血中に速やかに放出されてしまい、期待していたEPR効果や、SAHAに対する代謝安定性の付与効果が期待できないことがわかった。 実際に本薬剤のマウスXenograftモデルでのがん細胞縮退効果の評価を行ったが、SAHA投与群と比べて優位な縮退効果が認められなかった。従って、今後、化合物の設計段階から始める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に合成した4-arm-PEG-SAHAは、培養がん細胞に対して、有意な増殖抑制活性を有し、有効であると思われたが、血清中で4-arm-PEGとSAHA間のエステル結合が容易に加水分解されることがわかり、静脈投与した場合に、SAHAが血中に速やかに放出されてしまい、期待していたEPR効果や、SAHAに対する代謝安定性の付与効果が期待できないことがわかった。これは、SAHAが高分子キャリアの比較的外側に位置しているため、血清中の非特異的なエステラーゼの接近を許すためと考えられる。 そこで、今後は、新たな高分子キャリア-HDI製剤をデザインし、この問題を改善しようと思う。新たにデザインする化合物は、SAHAが高分子のPEG部分の内側に位置するようにして、エステラーゼが接近しにくくして、加水分解がされにくいようにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の残金3,491円は、発注した消耗品類の割引等により生じたものである。本残金に関しては、平成25年度に繰り越して、研究遂行に必要となる消耗品購入費として次年度請求予算と合算して使用することを希望する。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Anti-tumor activity of new orally bioavailable 2-amino-5-(thiophen-2-yl)benzamide-series histone deacetylase inhibitors, possessing an aqueous soluble functional group as a surface recognition domain2012
Author(s)
Y. Hirata, M. Hirata, Y. Kawaratani, M. Shibano, M. Taniguchi, M. Yasuda, Y. Ohmomo, Y. Nagaoka, K. Baba, S. Uesato
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Journal Title
Bioorg. Med. Chem. Lett.
Volume: 22
Pages: 1926-1930
DOI
Peer Reviewed
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