2013 Fiscal Year Research-status Report
多重感染予防のための分子設計に基づくパラインフルエンザウイルス治療薬の合成研究
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24590155
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
池田 潔 広島国際大学, 薬学部, 教授 (40168125)
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Keywords | シアル酸 / パラインフルエンザウイルス / シアリダーゼ阻害剤 |
Research Abstract |
病原性ウイルスの一つであるヒトパラインフルエンザウイルス(hPIV)は、かぜ症候群の原因ウイルスであり、乳幼児の初期感染において気管支炎や肺炎などの症状を引き起こすことが知られている。hPIV-1シアリダーゼ阻害活性の発現には、2,3-不飽和シアル酸誘導体の4,5位置換基が阻害活性に大きな影響を与えることが明らかとなっている。2004年、2,3-不飽和シアル酸誘導体の5位アセチル基が他のアシル基で置換されたBCX-2798およびBCX-2855がhPIV1,3HN糖蛋白質に高い親和性を示すことが報告された。この知見を基に、これまで申請者が見出した活性化合物4-O-エチル(I)、4-O-チオカルボニルメチル(II)、4-O-チオフェニルプロパルギルー2,3-不飽和シアル酸誘導体(III)をリード化合物とし、さらに高い阻害活性が期待される5位の置換基をBCX型に変えたハイブリッド型の新規化合物の合成を行ってきた。今回、すでに申請者が開発したN-Boc法 (Tetrahedron Lett., 48, 7431-7435(2007)) を用いてN-イソプロパノイル-4-O-チオフェニルプロパルギルー2,3-不飽和シアル酸誘導体(III)の合成を行った。現在、合成された化合物III誘導体についてhPIV-1及び3阻害活性活性を検討中である。III誘導体は、hPIV-1型のみならずhPIV-3型にも有効であるという知見を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回、申請者が開発したN-Boc法 (Tetrahedron Lett., 48, 7431-7435(2007)) を用いてN-イソプロパノイル-4-O-チオフェニルプロパルギルー2,3-不飽和シアル酸誘導体(III)の合成を行いそれらの合成に成功した。現在、合成された化合物III誘導体についてhPIV-1及び3阻害活性を検討中である。III誘導体は、hPIV-1型のみならずhPIV-3型にも有効であるという知見を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
III誘導体は、hPIV-1型のみならずhPIV-3型にも有効であるという知見を得ており、合成されたIII誘導体についてもhPIV-1及び3阻害活性活性を明らかにする。つぎに申請者はin situ click chemistry を用いたTGS法によりリード化合物の探索と最適化を目指し有望化合物について大量合成を行う。さらに創薬化学ベースの手法を取り入れることで、より効率的かつ精度良く化合物の最適化を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
標的化合物である2,3-デヒドロシアル酸誘導体は比較的室温で不安定であり、低温での濃縮精製操作が必要である。そのため各段階ごと合成物の精製には凍結乾燥機の使用が不可欠である。 凍結乾燥機 一式
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