2014 Fiscal Year Annual Research Report
大気中親電子物質1,4ーナフトキノンに対する細胞の生存シグナル制御機構
Project/Area Number |
24590159
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
新開 泰弘 筑波大学, 医学医療系, 助教 (10454240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 嘉人 筑波大学, 医学医療系, 教授 (00250100)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 1,4-ナフトキノン / 親電子シグナル / Keap1/Nrf2 / PTP1B/EGFR / 細胞応答システム |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究により、大気中親電子物質1,4-ナフトキノン(1,4-NQ)に対する細胞の生存に働く防御応答システムの1つとしてHSP90/HSF1系が機能していることを明らかにした。そこで本年度は、Keap1/Nrf2系およびPTP1B/EGFR系を介した細胞の生存シグナル制御機構を検討した。ヒト扁平上皮A431細胞を1,4-NQに曝露したところ、転写因子Nrf2の核移行および下流タンパク質であるヘムオキシゲナーゼ-1 (HO-1)の発現亢進が観察された。また、1,4-NQ曝露による遺伝子発現の変動をマイクロアレイにて網羅的に調べたところ、HO-1だけでなくNrf2下流のγ-グルタミルシステインリガーゼ(GCL)やアルドケト還元酵素(AKR)分子種の発現誘導が見られた。一方、1,4-NQに曝露したA431細胞においてはPTP1Bの修飾とそれに伴うEGFRおよびERKのリン酸化レベルの上昇も見られた。このとき、EGFRの阻害剤PD153035およびERKの阻害剤PD98059を前処理すると1,4-NQによる濃度依存的な細胞死はいずれも増強したことから、PTP1B/EGFR系が1,4-NQに対する毒性防御機構の1つとして機能していることが示唆された。すなわち、細胞は1,4-NQのような親電子物質に対して、複数の生存シグナル経路(HSP90/HSF1系、Keap1/Nrf2系、PTP1B/EGFR系など)を活性化させて応答することを明らかにした。
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