2013 Fiscal Year Research-status Report
サルモネラ新規病原性関連因子SEp22の発現を誘導する栄養因子に関する研究
Project/Area Number |
24590165
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
天野 富美夫 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (90142132)
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Keywords | サルモネラ / SEp22 (DPS) / 栄養因子 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本年度は、平成24年度の結果を基に、サルモネラの病原性環境分離株を用いて対数増殖期に移行させ、カサミノ酸分画から栄養因子を分離して加え、SEp22タンパク質の発現を誘導する因子の精製を試みた。評価系は、まず、微量で活性測定が可能な乾燥耐性獲得の誘導系を用い、続いてRT-PCR法で定量的にSEp22 mRNAを測定する方法を併用した。この時、本研究費で購入したRT-PCR装置(Eco Real-Time PCR System)が非常に役立った。 カサミノ酸由来の栄養因子の精製は、HPLCを用い、様々なカラムと溶媒の組み合わせによって分画した。そのため、高感度微量測定が可能な生物試験法であるサルモネラの乾燥耐性獲得系を用いたが、この方法はSEp22の発現が必須要因の一つであることがすでに確立している。菌を懸濁する溶液を10% M9(グルコース不含)添加生理食塩水に変更し、カサミノ酸のHPLCによる分画を添加したところ、溶媒にトリフルオロ酢酸(TFA)を用いた場合にはペプチドの分離は良いが失活が激しく、一方、ギ酸・酢酸系を用いた場合には、失活の程度が低かった。さらに何度か分画を重ね、ピーク分画をLC/MS/MS分析した結果、候補となるHPLC分画にVal-LysまたはLys-Valを含む分子量226程度のペプチドである可能性が示された。 しかし、これらの配列を持つジペプチドにはサルモネラの乾燥耐性獲得を誘導する活性が見られず、さらに新たな分画を得る必要が生じた。現在、これまでとは別のカラムと溶媒を用い、比較的大量の活性分画を分離する試みを続けている。さらにRT-PCRを用いてsep22遺伝子発現を詳細に点検する実験を行ており、なるべく早く目的とする栄養因子を解明したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では、平成24年度中の目標として、SEp22の発現を定量法は確立し、RT-PCRを用いた評価系も稼働したが、SEp22の発現を誘導する栄養因子の精製は完了しなかった。平成25年度もカサミノ酸の分画からHPLCによって有効成分を精製するための条件検討を重ねたが、候補となる分画が現れ、活性を持つと考えられる分画からペプチドが示唆されたが、精製したペプチドには活性が認められなかった。そのため、平成25年度も栄養因子の精製と同定を中心に実験を進めたので、達成度の評価は、残念だが④となる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の実験結果を踏まえ、引き続きカサミノ酸の中のSEp22発現誘導因子を精製し、同定する。その後、当初の計画に示した実験を遂行し、当該分子の分子的な性質を明らかにするとともに、サルモネラの病原性発現への影響を、試験管内試験、及びマウスを用いた感染実験系で評価する。
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