2012 Fiscal Year Research-status Report
カドミウムおよびマンガンの標的臓器における金属輸送機構の解析
Project/Area Number |
24590168
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
藤代 瞳 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (10389182)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | カドミウム / マンガン / 金属 / 輸送 / ZIP8 / ZIP14 / 亜鉛輸送体 / 毒性 |
Research Abstract |
今年度、ラットおよびマウスから腎臓の尿細管を摘出し、近位尿細管のS1, S2, S3領域それぞれからの細胞の単離・樹立に挑戦したが、現在のところ細胞の単離には至っていない。腎臓に関しては、マウス由来の細胞を入手できたため、今後はS1, S2, S3領域由来細胞を用いて解析を進めていく。 Cd毒性の標的臓器である消化管由来する細胞におけるCd輸送機構の解析も実施した。消化管モデル細胞としてCaco-2細胞を使用し、カップ培養システムを用いて管腔側と血管側のそれぞれの取り込みを調べた。これまで消化管におけるCdの吸収にはDMT1が重要であることが報告されている。しかし、それ以外の輸送体の検討はほとんど行われていなかった。そこで、Caco-2細胞においてZIP14の発現を抑制した結果、0.1, 1μMのCd取り込みがそれぞれ対照群の70%, 54%に低下した。一方、DMT1を発現抑制すると5μMのCd取り込みが対照群の約80%にまで低下したが、0.1, 1μMのCdの取り込みは変化しなかった。また、ZIP8を発現抑制すると、0.1μMのCdの取り込みはわずかに低下したが、1, 5μMの取り込みは変化しなかった。以上の結果より、消化管におけるCd吸収において、特に低濃度のCdの吸収については、DMT1以外にZIP14が重要な役割を果たす可能性を見出した。 Mn毒性の標的組織である脳におけるMn動態を明らかにするため、本年度はヒト神経芽細胞腫であるSH-SY5Y細胞を使用して解析を行った。SH-SY5Y細胞では亜鉛輸送体のZIP8およびZIP14, DMT1が確かに発現していることを確認した。また培地に重炭酸を添加するとZIP8およびZIP14を介したMnの取り込みが上昇することが報告されているが、SH-SY5Y細胞においても重炭酸添加によりMn取り込み効率が約5倍増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Cdの毒性の標的組織として腎臓、消化管、Mnの毒性の標的組織として神経細胞におけるそれぞれの金属の輸送機構の解析に着手した。近位尿細管由来の部位特異的細胞の樹立には成功していないが、すでに樹立された細胞を入手できたため、来年度以降はこの細胞を使用して解析を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスおよびラットから腎臓近位尿細管の部位特異的細胞を単離しようと試みたが成功しなかったため、すでに樹立された細胞を入手した。腎臓におけるCd輸送機構についてはこの近位尿細管のS1, S2, S3領域由来細胞を用いて解析を進めていく予定である。消化管におけるCd輸送機構の解析は本年度取り込み機構を中心に解析したため、来年度以降にCd排泄機構についても検討を実施する。神経細胞では、本年度ほぼ計画通りの研究を実施できたため、来年度以降はSH-SY5Y細胞における各金属輸送体の役割について明らかにしていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
利息分として発生したものであるため、次年度の物品費として使用する。
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[Journal Article] Roles of ZIP8, ZIP14, and DMT1 in transport of cadmium and manganese in mouse kidney proximal tubule cells2012
Author(s)
Fujishiro, H., Yano, Y., Takada, Y., Tanihara, M., Himeno, S.
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Journal Title
Metallomics
Volume: 4(7)
Pages: 700-708
DOI
Peer Reviewed
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