2012 Fiscal Year Research-status Report
GPIアンカー欠損スプライス変異型プリオン蛋白質の生理機能の解明に関する研究
Project/Area Number |
24590172
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
菊池 裕 国立医薬品食品衛生研究所, 衛生微生物部, 室長 (10234197)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | プリオン / 選択的スプライシング / GPIアンカー |
Research Abstract |
ヒト膠芽腫細胞株T98Gが発現するプリオン蛋白質遺伝子のmRNAを解析し、プリオン蛋白質(PrP)のC末端とGPIアンカーシグナル配列をコードする塩基配列が欠落したスプライス変異型プリオン蛋白質(PrPSV)を同定した。ヒトPrPSVのC末端を特異的に認識する抗体を作製し、T98G細胞が蛋白質を産生していること、ヒト脳由来total RNAでPrPSV mRNAの発現を確認した。同様の手法を用い、ウシ角膜細胞株BCE-C/D-1b及びヒツジ脳由来細胞株OA1からPrPのC末端とGPIアンカーシグナル配列を欠落したPrPSV mRNAを同定した。 本年度はPrPの機能解析を目的として、ヒツジPrP又はPrPSV遺伝子をPrP遺伝子欠損マウス細胞株HpL 2-3に導入し、これらの解析を行った。PrP又はPrPSV遺伝子を組み込んだHpL 3-4細胞のゲノムDNAをPCRで確認し、これらの遺伝子が導入された安定株を得た。RT定量PCRでPrP mRNAの発現を確認し、抗PrP抗体を用いたイムノブロット法で総細胞抽出液及び膜画分にPrPの産生を確認した。以上の結果から、PrPはHpL 3-4細胞の細胞膜に分布していることが示唆された。同様にRT-PCRでPrPSV mRNAの発現を確認し、抗PrP抗体を用いたイムノブロット法で総細胞抽出液にPrPSVの産生を確認した。しかし、ヒツジPrPSVのC末端部位を認識する特異抗体産生ハイブリドーマを樹立出来ず、PrPSVの細胞内分布の解析ができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトと同様に自然界でプリオン病の宿主であるヒツジPrP又はPrPSV遺伝子をPrP遺伝子欠損マウス細胞株HpL 2-3に導入し、これらの遺伝子が導入された安定株を得た。RT定量PCRでPrP mRNA及びPrPSV mRNAの発現を確認し、PrP蛋白質の産生を確認したことから、おおむね順調に進展したと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度はヒツジPrPSV蛋白質のC末端を特異的に認識する抗体を作製を試み、ヒツジPrPSV遺伝子を導入した細胞が産生する蛋白質の確認を行う。また、既にヒトPrPSV蛋白質のC末端を認識する抗体を得ており、イムノブロット法による蛋白質の確認手法を確立していることから、今年度はヒトPrP遺伝子及びPrPSV遺伝子も研究対象とし、安定発現細胞株の樹立、遺伝子の発現および蛋白質の産生を確認を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究遂行に必要な物品費として使用を予定している。
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