2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590177
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 健弘 東北大学, 大学病院, 助教 (50396438)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トランスレーショナルリサーチ / 慢性腎臓病 / 尿毒素 / 尿毒症 / トランスポーター / メタボローム解析 / スタチン |
Research Abstract |
慢性腎臓病(CKD)患者では体内に蓄積する尿毒症物質が酸化ストレスを惹起して組織の炎症や虚血・低酸素をもたらし、さらなる腎傷害と尿毒素蓄積を来すという悪性サイクルが存在し、現在30万人の本邦の透析患者には多額の医療費がかかり、CKD進行と透析導入を阻止する治療法の開発は医療経済と社会に大きく貢献することになる。申請者らはヒト近位尿細管血管側に発現するSLCO4C1トランスポーター1が尿毒素の排泄を担い、スタチンがAhR/XRE系を介してその発現増強して尿毒素の排泄を促進し、高血圧や腎障害を改善することを報告してきた(PNAS 2004,JASN 2009)。さらに尿毒素がGATA転写因子を介してSLCO4C1の発現を抑制することを示した。 そこで本研究ではCKDにおける尿細管トランスポーターの発現制御機構を解明し、AhR-XRE系リガンドによる発現増強作用と、GATA阻害薬等による尿毒素によるGATAを介した発現抑制の解除という相補的な2つの治療戦略により、効果的に尿毒素の蓄積の悪循環を断ち切る新たなCKD治療法の開発を目指す。本年度はSLCO4C1トランスポーターアッセイ、腎臓由来細胞ACHNによるSLCO4C1発現定量PCRにより様々な化合物ライブラリーをスクリーニングし、SLCO4C1の発現を増強する新たな候補化合物を選別した。また、AhR転写因子、GATA転写因子など発現制御機構の解析を進めている。現在上記候補化合物をマウス、ラットに投与して in vivo での評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である、CKDにおける尿細管トランスポーターの発現制御機構を解明し、AhR-XRE系リガンドによる発現増強作用と、GATA阻害薬等による尿毒素によるGATAを介した発現抑制の解除という相補的な2つの治療戦略により、効果的に尿毒素の蓄積の悪循環を断ち切る新たなCKD治療法の開発することである。当初の計画通り、SLCO4C1の発現を増強する新たな薬剤のため、スタチン等のSLCO4C1の転写を制御する化合物の情報を元に化合物ライブラリーをin vitroの系(SLCO4C1遺伝子のプロモーター領域を用いたレポーターアッセイ、腎臓由来細胞による定量PCRの評価)でスクリーニングし、SLCO4C1の発現を増強する複数の候補物質を見出している。現在次の段階として候補化合物投与下のマウス、ラット等の動物実験で in vivoでのSLCO4C1発現、薬剤・尿毒素の腎臓クリアランスの評価を行っている。当初の年次計画の目標はおおむね達成されている。
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Strategy for Future Research Activity |
AhR-XRE系リガンド及びGATA阻害薬のラット腎不全モデルでの生体内効果の検証、臨床でSLCO4C1発現亢進を目的としたスタチン及び新規SLCO4C1増強薬とAST-120によるインドキシル硫酸除去の併用効果の検討を行う。 1)ヒト培養細胞系でSLCO4C1の発現増強を確認した候補薬剤を正常ラットに投与し、ラット腎臓のSlco4c1定量PCRとWestern blotにる発現の評価、SLCO4C1の輸送基質薬剤投与下での薬剤排泄促進作用を血液,尿サンプルのキャピラリー電気泳動質量分析(CE-MS)によるメタボローム解析により昨日評価を行う。 2)正常ラットでSLCO4C1の発現増強と機能誘導効果を確認した候補薬剤を次に5/6腎摘ラット腎不全モデルに投与し、高血圧、心肥大、腎内炎症などの尿毒症による臓器障害の改善効果を検討する。腎臓での発現増強はSlco4c1定量PCRとWestern blotにより評価する。尿毒症質排泄促進の効果は血液,尿サンプルの CE-MSによるメタボローム解析でIS,ADMA,GSA,trans-aconitateなどの尿毒症物質群の測定により評価する。 5) 既存の薬剤による臨床検討: SLCO4C1発現増強を目的にCKD患者にスタチン投与を投与し血液・尿のメタボローム解析により尿毒素の血中濃度と排泄クリアランスを評価する。スタチン、AST-120のマルチターゲット療法の臨床試験:スタチンとともにインドキシル硫酸を除去する経口吸着剤の併用で、SLCO4C1の発現増強系の亢進と発現抑制系の解除の併用効果を血液・尿のメタボローム解析により尿毒素の血中濃度と排泄クリアランスを評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(24 results)