2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24590177
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 健弘 東北大学, 大学病院, 助教 (50396438)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トランスレーショナルリサーチ / 急性腎傷害 / 尿毒素 / 虚血 / シスプラチン / トランスポーター / メタボローム / エリスロポイエチン |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病患者体内に蓄積する尿毒症物質(尿毒素)が酸化ストレスを惹起して組織の炎症や虚血・低酸素をもたらし、さらなる腎傷害と尿毒素の蓄積を来すという悪循環が形成される。申請者らは尿毒素がヒト腎臓発現する尿毒素排泄トランスポーターSLCO4C1の発現や腎臓から分泌される造血ホルモンErythropoietin (Epo)の発現を抑制して腎性貧血の増悪に関与することを報告した。 そこで、平成24年度はこれらの遺伝子の発現レポーターアッセイを用いて化合物ライブラリーのスクリーニングを行い、Epoの発現を促進するインドール系の新規化合物compound No.5(以下化合物#5)を見いだした。平成25年度は化合物#5がEpo産生細胞株のHep3B細胞においてEpo産生を促進し、尿細管由来HK2細胞での腎毒性物質(抗癌剤のシスプラチン、薬剤性腎症の原因物質のアリストキア酸)による傷害モデルで尿細管細胞死を濃度依存性に抑制することを示した。平成26度は動物実験モデルによる検討を行い、マウス虚血再潅流(IRI)モデルにおいて化合物#5の50mg/kg 体重の経口投与により、再潅流後48時間で腎機能の改善と尿細管急性壊死像の有意な改善を認めた。シスプラチン20mg/kg 体重投与のマウス シスプラチン腎症(CIS-N)モデルでも化合物#5投与により腎機能の改善と尿細管急性壊死像の有意な改善を認めた。IRIとCIS-Nの異なる2つの急性腎傷害モデルで腎機能改善と腎組織傷害病理の改善を認め、化合物#5が急性腎傷害の治療薬として有効であること示唆された。
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Research Products
(9 results)