2012 Fiscal Year Research-status Report
採血負荷の軽減を指向した小児薬物動態評価法の確立と循環器官用薬投与の最適化
Project/Area Number |
24590182
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
田口 雅登 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 准教授 (20324056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市田 蕗子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (30223100)
齋藤 和由 富山大学, 大学病院, 助教 (30566097)
石田 和也 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 助教 (90550509)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 小児薬物動態 |
Research Abstract |
薬物療法の安全性を確保しつつ有効性を引き出すためには、臨床薬物動態特性と個体間変動機構を明らかにし、患者毎に投与法の最適化を図る必要がある。しかし、市販後に一施設で行う臨床薬物動態試験では、対象患者が多くても数十人に限られる。このような場合、従来の速度論的解析法では臨床試験の遂行が困難であった。こうした問題に対して申請者は、一人あたり2回の採血デザインが薬物動態解析において頑健である事を示してきた。申請者が提唱する2点採血デザインとデータ解析は、従来から企画・実施が困難とされる小児患者を対象とする臨床薬物動態研究への応用・発展が期待されるところである。本研究では、体内動態特性が異なる3種類の循環器官用薬に着目し、小児における臨床薬物動態評価法の確立を図る。 初年度はフレカイニドとカルベジロールの体内動態試験に着手し、それぞれ10症例、7症例の参加が得られた(研究状況の概要は以下の通り)。 1.フレカイニドの体内動態変動性評価: フレカイニドの代謝にはCYP2D6とCYP1A2が関与するとの報告がある。また、小児期ではチトクロームP450(CYP)1A2の活性が大きく変動する事が知られている。本研究においてもクリアランス(CL/F)に及ぼす年齢の効果が認められた(投稿準備中)。 2.カルベジロールの体内動態に及ぼす心不全の影響: 近年申請者は心不全患者のCL/Fは健常者に比べて小さい事を見出したが、小児患者の体内動態は不明である。ピーク・トラフ血中濃度データを集積中であるが、総じて低値である事から、CL/Fに及ぼす年齢の影響が示唆された。また、心不全に伴うCL/F低下の機序を検討するため、ラットを用いた基礎実験を行った結果、肝ミクロソームにおけるカルベジロールの代謝活性が慢性的な低酸素暴露の影響を受けない事が明らかとなった(論文投稿中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フレカイニドとカルベジロールの臨床試験は、当初見込みよりも参加症例数が少なかったが、平成25年度から実施予定の肺高血圧症治療薬タダラフィルに関する臨床試験の準備状況が良好であり、参加症例数が最低目標数に達する見通しがついたと判断されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
近年申請者は心不全患者におけるカルベジロールのCL/Fは、健常者に比べて小さい事を見出したが、小児患者集団の体内動態は不明である。現在、ピーク・トラフ血中濃度データを集積中であり、例数は少ないものの総じて低値である事から、CL/Fに及ぼす年齢の効果について検討を行う予定である。 一方、タダラフィルの服用症例が想定よりも多い事を鑑み、同効薬のシルデナフィルを被験薬物とした臨床試験を新たに企画・実施する。 今後の臨床試験を円滑に実施するため、症例数が予定よりも少ないと判断された時点で、他施設からの共同研究が実施できるよう、倫理申請等の事務手続きを進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用計画は基本的に初年度と変わらない。 なお、次年度(平成25年度)への繰り越し金額が521円ほど生じたが、研究目的と相違ない研究用途の試薬(消耗品)購入に充て、有効活用する予定である。
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