2013 Fiscal Year Research-status Report
採血負荷の軽減を指向した小児薬物動態評価法の確立と循環器官用薬投与の最適化
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24590182
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
田口 雅登 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 准教授 (20324056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市田 蕗子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (30223100)
齋藤 和由 富山大学, 大学病院, 助教 (30566097)
廣野 恵一 富山大学, 大学病院, 助教 (80456384)
石田 和也 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 助教 (90550509)
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Keywords | 小児薬物動態 |
Research Abstract |
薬物療法の安全性を確保しつつ有効性を引き出すためには、臨床薬物動態特性と個体間変動機構を明らかにし、患者毎に投与法の最適化を図る必要がある。しかし、市販後に一施設で行う臨床薬物動態試験では、対象患者が多くても数十人に限られる。このような場合、従来の速度論的解析法では臨床試験の遂行そのものが困難であった。申請者はこうした問題を解決する目的で、採血負荷が少ない一人あたり2回の採血デザインを提唱するとともに、薬物動態解析における有用性を示してきた。本研究では、従来から企画・実施が困難とされる小児患者を対象とする臨床薬物動態研究において、2点採血デザインとデータ解析を応用する。具体的には、体内動態特性が異なる3種類(フレカイニド、カルベジロール、タダラフィル)の循環器官用薬に着目し、小児における臨床薬物動態評価法の確立を図る。 2年目はフレカイニドとタダラフィルの体内動態解析を行った(研究状況の概要は以下の通り)。 1.フレカイニドの体内動態変動性評価:フレカイニドの肝代謝にはCYP2D6に加えCYP1A2が関与するとの報告がある。本研究では16症例のデータ解析を行ったが、フレカイニドの経口クリアランス(CL/F)が発達とともに変動する傾向が観察され、小児期のCYP1A2活性変動の影響を反映した結果と考えられた(Biopharm. Drug Dispos. 論文印刷中)。 2.タダラフィルの体内動態変動性評価:小児肺高血圧症患者23例におけるタダラフィルの体内動態にも大きな個体間変動が観察された。先天性心疾患による特殊な血行動態を有する患者が含まれるため、体内動態変動因子を明らかにすることは困難であったが、個々の患者の血漿蛋白結合率は84.6%から99.4%の範囲に分布しており、体内動態変動性の一因であると推察された(Ther. Drug Monitor. 論文印刷中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カルベジロールの臨床試験は当初見込み数よりも参加症例数が少ないものの、フレカイニドとタダラフィルの症例数が最低目標数に達し、小規模での体内動態解析を行い、一定の成果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
先天性心疾患(或いはその術後)の割合が高い小児患者集団では、カルベジロールの体内動態の実態がほとんど明らかにされていない。 臨床的にもカルベジロールの体内動態解明のニーズは高いため、カルベジロールの使用実績の多い他施設からの協力参加を検討する。一方、タダラフィルの同種同効薬であるシルデナフィルを被検薬物とした臨床試験を新たに開始しており、両薬物の体内動態特性に関する基礎データを得る予定である。また、タダラフィル・シルデナフィルの代謝に寄与するCYP3A分子種を明らかにする目的で、ヒトP450発現系ミクロソームを用いたin vitro実験を行う予定である。
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