2013 Fiscal Year Research-status Report
成長過程や身体機能の変化に伴う薬物体内動態変動要因の検索
Project/Area Number |
24590184
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石崎 純子 金沢大学, 薬学系, 准教授 (60401890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崔 吉道 金沢大学, 大学病院, 准教授 (40262589)
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Keywords | バルプロ酸 / ボリコナゾール / メトトレキサート / 相互作用 / 薬物代謝 / トランスポーター / 体内動態 |
Research Abstract |
申請者は臨床研究結果より,抗真菌薬ボリコナゾール(VRCZ)と抗てんかん薬バルプロ酸(VPA)で,成長に伴い体内動態が変動する結果を得ている.本年度は,これらの薬物について,ラットを用いて基礎検討を行いその要因解明を目指した.また,他の候補となる医薬品を検索するため,血中濃度モニタリング(TDM)対象薬でかつ,薬物トランスポーター(TR)の基質となる医薬品がないかを調査した. 1.申請者は,VRCZの血漿中濃度推移は幼若ラットほど減衰が早く,その要因には薬物代謝が関与することを既に明らかにしている.VRCZの主要な代謝酵素であるCYP3A系と2C系,およびフラビン含有モノオキシゲナーゼ(FMO)について,ラット肝ミクロソームを用いてVRCZ代謝の週齢差にいずれの酵素が関与しているかを検討した.各種代謝酵素阻害剤を用いてVRCZの代謝阻害効果を週齢間で比較した結果,いずれの阻害剤でもVRCZの代謝を阻害したが,CYP3A2, 2C11では週齢間で阻害作用に差が認められなかった.一方,FMO活性は幼若ラットでは成熟ラットの約10倍高く,成長過程におけるVRCZの体内動態変動にFMOの関与を強く示唆する結果を得た. 2.TRの基質となるTDM対象薬を調査した結果,ガバペンチンなど5種の抗てんかん薬と葉酸代謝拮抗薬のメトトレキサート(MTX)が該当した.それぞれが基質となるTRの阻害剤や誘導剤を検索し,臨床で併用されやすい医薬品の組み合わせがないか,本学診療支援システムによる処方件数の調査や現場の薬剤師と意見交換を行い,MTXを候補医薬品として研究を進めることとした.後ろ向き観察の臨床研究を実施するため,本学の医学倫理審査委員会に研究課題「メトトレキサートの血清中濃度におよぼす併用薬の影響に関する調査」として臨床試験を申請し審査は終了した(現在,委員会の決定通知待ちである).委員会承認後,速やかに臨床研究を開始する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の当初の予定では,昨年度,ラットおよびヒトで相互作用が示唆された,バルプロ酸(VPA)とシクロスポリンとの併用について,より詳細なメカニズム解明のため動物実験を実施する予定であった.すなわち,ラットの尿および胆汁中のVPAとそのグルクロン酸抱合体(VPA-G)の濃度を測定し,週齢差やシクロスポリンの影響を考察し,薬物トランスポーターの発達と動態変動との関連を明らかにすることを目標としていた.しかし,昨年度までVPAとVPA-Gの分析に使用していたガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)が使用不能となり,今年度は急遽,液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)を用いた分析方法の確立が必要となった. このため,VPA関連の研究が遅れ,当初,VPAの成果確認後,着手予定であったVRCZの動物実験とVPAの定量検討を並行して実施したため,VPA,ボリコナゾールのいずれの研究成果もまとめるに至らなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
1.LC-MSによるVPAとVPA-Gの定量方法はほぼ確立できており,今後は,当初の計画に従い,尿および胆汁中のそれぞれの濃度を測定し,週齢による違いやシクロスポリンによる影響の受け方を比較する. 2.ラット肝ミクロソームを用いた検討により,VRCZの体内動態の週齢差がFMO活性によることが示唆されたので,FMO阻害剤を投与し,in vivoでの動態変動を評価する. 3.電子カルテ情報よりMTXのTDM結果と併用薬との関係を調査し,薬物トランスポーターを介した相互作用が臨床でみられていないかを検討する.相互作用を誘発する候補薬物について,ラットを用いて基礎的検討を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
効率的な使用により端数が生じ未使用額となった. 未使用額と合わせて当初の予定どおり基礎および臨床研究を行う.
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Research Products
(1 results)