2014 Fiscal Year Research-status Report
成長過程や身体機能の変化に伴う薬物体内動態変動要因の検索
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24590184
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石崎 純子 金沢大学, 薬学系, 准教授 (60401890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崔 吉道 金沢大学, 大学病院, 教授 (40262589)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ボリコナゾール / バルプロ酸 / メトトレキサート / 相互作用 / 薬物代謝 / トランスポーター / 体内動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.昨年度までのin vitro実験の結果より,ラットの週齢間でのVRCZの動態変動には,薬物代謝酵素のフラビン含有モノオキシゲナーゼ(FMO)とCYP3A2の関与が示唆された.そこで,VRCZ単独投与時(対照群),および,FMOあるいはCYP3A2阻害剤併用時のVRCZの血漿中濃度推移より,VRCZの消失の指標であるクリアランス(CL)を算出した.対照群と各種酵素阻害剤併用時のCLの差を,当該酵素のVRCZのCLに対する寄与として週齢間で比較した結果,CYP3A2の寄与は週齢間でほぼ等しく,FMOの寄与は4週齢で12週齢の1.6倍と高かった.以上より,ラットでのVRCZの体内動態の週齢差にはFMOが関与していることがわかった. 2.昨年度までの検討より,ラットの腸肝循環(EHC)は幼若ラットでは未発達で,成長に伴い完成されていくのではないか?また,このことがEHCを受けるVPAの体内動態の週齢差の要因となっているのではないか?と考えた.そこで,EHCを評価するため,VPAの主要代謝物であるグルクロン酸抱合体(VPAG)の胆汁排泄速度に対するMrp2阻害剤で免疫抑制剤のシクロスポリン(CsA)の影響を調べた.成熟ラット(12週齢)にVPAを点滴静注し定常状態としたときのVPAGの胆汁排泄速度は,CsA投与により約50%に低下した.今後,幼若ラットでも同様の検討を行い仮説の検証を行う. 3.TRを介した薬物間相互作用を調査・検証するため,「MTXの血清中濃度におよぼす併用薬の影響に関する調査」として承認された臨床試験を行った. MTX投与患者を消失遅延群と正常群に分類して併用薬を調査した結果,遅延群で併用率の高い薬物が4種類,このうちTRを介した未知の相互作用を誘発する可能性のある薬物が2種類あり,今後,詳細に検討していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の当初の予定では,昨年度確立したLC-MSによるVPAとVPAGの定量方法により血漿,尿,胆汁中のそれぞれの濃度を4週齢,12週齢で測定し比較する予定であった.血漿,尿については定量可能であったが,胆汁については夾雑物が多く,再度,前処理やLC-MSの条件検討が必要となった.このため,4週齢での結果が出せず,週齢間の比較ができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
1.今年度の結果より,成長に伴ってFMO活性が低下する可能性が示唆された.動物実験での研究成果を人と比較・考察するためには,幅広い年齢層で使用されている医薬品を選択する必要がある.このため,臨床においてFMOで代謝され医薬品が無いか,また,候補医薬品について臨床での使用状況(適応症,使用する患者集団,用法・用量など)の概要を調査する.以上の調査結果に基づき,前向き,または,後ろ向き臨床研究の計画・実施を目指す. 2.幼若ラットを用いて,VPAの胆汁排泄におよぼすCsAの影響を検討し,成熟ラットでの結果と比較し,Mrp2を介した胆汁排泄が成長に伴って変動するかを考察する. 3.「MTXの血清中濃度におよぼす併用薬の影響に関する調査」として承認された臨床試験を継続して行い,併用薬の有無だけではなく,がん種などの患者背景因子,MTXや併用薬の投与量・投与方法などの情報,各種検査値などを調査し,他の因子の関与についても検討する.並行して,相互作用の可能性のある2種の薬物について,ラットを用い相互作用の有無を検討する.
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