2014 Fiscal Year Annual Research Report
がん性疼痛緩和に用いる鎮痛薬の個人差要因に基づく至適薬物療法の構築
Project/Area Number |
24590186
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
川上 純一 浜松医科大学, 医学部附属病院, 教授 (50272539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 隆文 浜松医科大学, 医学部附属病院, 副薬剤部長 (80422749)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 緩和医療 / がん性疼痛 / 神経障害性疼痛 / 薬物動態 / 薬物間相互作用 / 遺伝子多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、神経障害性疼痛を有する患者における併用薬によるガバペンチンの体内動態の影響を明らかにし、ガバペンチンの消化管吸収、血中動態および尿中排泄に及ぼす有機カチオントランスポーターの遺伝子変異の影響を解析した。神経障害性疼痛に対し、ガバペンチンを投与した11名の患者を対象とした。対象患者において、ガバペンチンのバイオアベイラビリティは、中央値として、34%であり、そのうち10名が酸化マグネシウムの併用患者であった。神経障害性疼痛患者におけるガバペンチンのバイオアベイラビリティは、健常人(平均値、58%)に比べ低値を示した。また、ガバペンチンのトラフ濃度とその投与量補正値は、それぞれ、中央値として、2.1 µg/mL、7.5 ng/mL per mgであった。見かけの腎クリアランスのクレアチニンクリアランス補正値は、それぞれ、中央値として、37 mL/min、0.45であった。ガバペンチンのバイオアベイラビリティ、トラフ濃度の投与量補正値、見かけの腎クリアランスのクレアチニンクリアランス補正値に及ぼすOCTN1 T917C、OCTN1 IVS8+T76CおよびOCTN1 G-248Cの影響は認められなかった。OCTN1 C1507TおよびOCTN2 C-207Gの遺伝子型については、すべて、1507CCおよび-207CCであった。 がん患者におけるオピオイドの導入に用いられるトラマドールとその代謝物の薬物動態の評価については、試験開始後において、患者における定量性が十分に得られないことが判明し、薬物血中濃度測定法を質量分析法に変更した。その結果、薬物動態の個人差の解析に必要な症例数に至っていない。これまでの得られたデータから、がん患者におけるトラマドールとその代謝物の体内動態には、個人差が大きいことが明らかとなっている。
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