2013 Fiscal Year Research-status Report
白金系抗がん薬の過敏症発現機序に基づく再投与可能患者の選別法構築
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24590188
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
岩本 卓也 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (30447867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 真弘 三重大学, 医学部附属病院, 教授 (70252426)
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Keywords | 白金系抗がん剤 / 過敏症反応 / オーダーメイド医療 / IgE |
Research Abstract |
白金系抗がん薬の過敏症発現機序の解明に向け、カルボプラチンについて以下の検討を行った。 1.高親和性IgEレセプターであるFcεRI発現量について、過敏症発症患者で上昇が見られるかどうかを前年度に引き続き検討した。アナフィラキシーグレード3以上の発症歴のある患者5名では、未発症の8例に比べ、フローサイトメーターにて確認されたFcεRI発現量が有意に高く、さらに、カルボプラチンの投与歴の無い健常人よりも有意に高い結果であった。また、RT-PCRにて、白血球中におけるFcεRIのmRNA発現量を各群間で比較したところ、FcεRIのα鎖、β鎖、γ鎖のいずれも発症群が未発症群に比べ有意に高値であった。中でも、好塩基球に特異的に発現するβ鎖については、顕著な差が確認された。これらの結果より、カルボプラチンによるアナフィラキシーには、FcεRIのmRNAの増加とそれに伴う蛋白発現量の上昇が関与すると考えられた。 2.発症機序におけるIgE依存性の検討では、乳酸を含有した緩衝液(LS buffer, pH 3.9)を末梢血単核球細胞と反応させることで、FcεRIからのIgEの剥離を試みた。LS buffer処理後、FcεRIのIgE非結合部を認識する抗FcεRI抗体(CRA1)の結合量には変わりがないものの、IgEの結合部を認識する抗FcεRI抗体(CRA2)の結合量が顕著に増加したことから、FcεRIからIgEが確実に剥離されたことを確認した。さらに、LS buffer処理後に上清を洗い流し、新たに患者血清と2時間インキュベートすることで、IgEとFcεRIとの再結合(受動感作)が確認された。また、過敏症陽性患者の血清を受動感作した後、カルボプラチンで刺激すると、好塩基球が活性化することを1名の患者で確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
さらに検討を進めるが、カルボプラチンによる重篤な過敏症(アナフィラキシー)の発症はIgE依存的に起こることがほぼ間違いないことを確認した。この研究成果により、カルボプラチンに特異的なIgEを検出する方法を検討することで、再投与可能患者の選別方法の確立に向けて着実に研究が進むと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究より、LS bufferによるFcεRIからのIgEの剥離、患者血清の添加によるFcεRIとIgEの再結合が確認できた。本年度は、過敏症歴のある患者の血清を用いてIgEを置換(受動感作)したとき、カルボプラチンの刺激により好塩基球が活性化するかどうかを複数検体で検証する。同様にネガティブコントロールとして、過敏症の既往歴の無い患者の血清を受動感作したときに、好塩基球が活性化しないことを確認する。好塩基球の活性化については、膜蛋白のCD203cの発現量をフローサイトメーターで定量する。通常、カルボプラチン等の小分子は、血清タンパク質と結合してハプテンとなり、IgEと結合する。カルボプラチンによる好塩基球の活性化機序として、血清蛋白が必要であるかどうかを確かめる。血清タンパク質が必要な場合、その成分として、アルブミン、α酸性糖蛋白質が必要であるかどうかを実験により確かめる。
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[Journal Article] 外来化学療法における薬剤師の業務展開に関する調査結果2014
Author(s)
川上和宜, 吉村知哲, 日置三紀, 組橋由記, 林稔展, 飯原大稔, 黒田純子, 緒方憲太郎, 米村雅人, 岩本卓也, 松尾宏一
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Journal Title
日本病院薬剤師会雑誌
Volume: 50
Pages: 305-311
Peer Reviewed
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