2014 Fiscal Year Annual Research Report
腎不全患者における薬効変動メカニズムの解明とこれに基づく中枢作用薬の至適投与設計
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24590192
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
合葉 哲也 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00231754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 佳久 岡山大学, 大学病院, 准教授 (40423339)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 腎不全 / 中枢神経系 / PK/PD |
Outline of Annual Research Achievements |
腎不全患者では、肝臓を代謝排泄臓器とする肝代謝型薬物の場合にも、薬理効果に変化が生じることが報告されている。申請者は前年度までの研究において、薬効発現と密接に関係する薬物の血中濃度推移が腎機能の低下に伴って上昇することを示し、そしてこの濃度上昇の要因が肝臓における薬物代謝酵素の発現量減少に起因する薬物代謝活性の低下であることを明らかにした。加えて、申請者は、腎不全時にはこうした薬物動態的変化の他に、薬力学的変化、即ち、薬物標的組織の薬物に対する感受性が変化することも指摘している。具体的は、脳室内薬物投与実験系を用いて、中枢組織の薬物感受性を直接評価した結果、腎不全ラットの場合に鎮痛麻酔薬フェノバルビタールの薬理効果が有意に増強することを明らかにした。この一方で、この作用増強は、フェノバルビタールの作用点であるGABA受容体の発現量の明確な変動を伴うものでないことを示唆する結果も得ている。これらの結果に基づいて、平成26年度は、GABA受容体を構成するサブユニットに機能変調が生じている可能性の検証を行い、加えて、この作用増強におけるGABA作動性抑制性神経系以外の神経系の関与の有無を検討した。腎不全ラットを対象に、フェノバルビタールとは異なる結合部位にてGABA受容体に結合するベンゾジアゼピンを用い、その薬効発現を検討した結果、対照群との比較において明確な作用増強は認められなかった。また、フェノバルビタールやベンゾジアゼピンとは異なり、ヒスタミンH1受容体を作用点として、これを遮断するジフェンヒドラミンを用いて検討を行った結果、その薬効の指標である痙攣誘発作用は、腎不全ラットの場合に有意に抑制されることが明らかとなった。これらの結果、ARFに伴う中枢作用薬の薬効変動機構には、GABA受容体の機能変調に加え、ヒスタミンH1受容体において、機能変調が生じている可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)