2013 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍組織内微小環境の調節に基づいた新規がん治療戦略の構築に向けた基礎的検討
Project/Area Number |
24590194
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大河原 賢一 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30291470)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜垣 和孝 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60284080)
|
Keywords | がん治療 / 血管新生 / 抗がん剤 / ドラッグ・デリバリー・システム |
Research Abstract |
本研究では、抗がん剤パクリタキセル(PTX)内封PEG 修飾リポソーム製剤 (PL-PTX) の抗腫瘍効果に及ぼす血管新生阻害剤 SU5416 前投与の影響を多面的に評価することを目的としている。昨年度の検討において、C26担がんマウスにおける PL-PTX の抗腫瘍効果に対する、SU5416 内封 PEG 修飾 O/W 型エマルション製剤 (PE-SU5416) 前投与の影響を評価したところ、これら製剤をそれぞれ単独投与した時と比較して、顕著に高い腫瘍増殖抑制効果が認められるとともに、PE-SU5416 を前投与することで、腫瘍組織内の異常な血管が、構造的に改善され、酸素供給を含む機能も向上したことを示唆する結果を得た。そこで本年度は、PE-SU5416 前投与後の、PL-PTX の腫瘍組織への移行量を評価したところ、PEG 修飾リポソーム自身、並びに内封 PTX のいずれも、対照群と同程度であることが明らかとなった。即ち、PE-SU5416 前投与により腫瘍内血管の物質運搬能が向上していると考えられたにも関わらず、その後に投与した PL-PTX の腫瘍組織への送達効率は改善されていないことが明らかとなった。そこで我々は腫瘍組織を中心部、及び周縁部に分け分離評価することで、PL-PTX の腫瘍内でのより詳細な分布挙動の解析を試みた。その結果、PE-SU5416 を前投与することで、PL-PTX の腫瘍中心部への分布が有意に上昇することを明らかにした。この結果は、PL-PTX がこれまで腫瘍組織へ送達されていたものの、腫瘍中心部までは十分に到達できておらず、PE-SU5416 前投与により、PL-PTX の腫瘍中心部への送達効率が増大したことを示すものであった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点での研究の進捗状況が、当初申請書に記載していた研究計画と量・質ともに、概ね同程度であるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
過去2年間の研究進展が順調であったため、特に予定を変更するつもりはなく、当初計画していた通りに進めていくつもりである。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
必要物品との兼ね合いで若干の次年度使用額が発生したが、これらは次年度へ繰り越すことで、より効率的に活用する予定である。 必要物品との兼ね合いで若干の次年度使用額が発生したが、これらは次年度へ繰り越すことで、より効率的に活用する予定である。
|