2012 Fiscal Year Research-status Report
薬物による肺胞上皮細胞障害とII型-I型分化転換および上皮間葉転移との関連解析
Project/Area Number |
24590195
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
湯元 良子 広島大学, 医歯薬保健学研究院(薬), 助教 (70379915)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 薬剤性肺障害 / 肺胞上皮細胞 / II型‐I型分化転換 / 上皮間葉転移 / 薬学 |
Research Abstract |
薬物による肺障害、特に肺線維症や間質性肺炎は極めて重篤な障害であり時に致死的である。しかしその発現機構には不明な点が多く、また新規医薬品の肺障害性の有無を事前に予測するシステムは存在しない。 本研究では、薬物の肺障害性および肺障害とII型-I型分化転換あるいは上皮間葉転換 (Epithelial Mesenchymal Transition : EMT)との関係性について明らかにし、肺線維化などの薬物性肺障害のin vitro予測システムを開発することを目的としている。 本年度はまず、ラット肺胞上皮II型細胞由来の株化細胞RLE-6TNを用い、主にbleomycinの影響について解析し、以下の知見を得た。 1)100000 cells/35mm dishで播種したRLE-6TN細胞を、直接的な細胞障害を引き起こさない濃度のbleomycin (0.1, 0.4 micro M)で144時間 (day 1~day 6)処置した。位相差顕微鏡および共焦点レーザー顕微鏡で観察した結果、紡錘状へと変化した細胞が多く観察され、EMTが誘導されていることが示唆された。 2)遺伝子発現に対する影響をreal-time PCR法を用いて検討した結果、bleomycin 0.1 micro Mおよび 0.4 micro M処置において上皮系マーカー遺伝子であるCK19とZO-1は有意に減少した。また、間葉系マーカー遺伝子であるFibronectinおよびCTGFはbleomycin 0.4 micor M処置により有意に増加をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Bleomycinの処置条件を決定することができ(処置時間:144 hrs、濃度:0.4 micro M、播種数:100000 cells/35mm dish)、RLE-6TN細胞は薬剤によるEMT誘導の解析・肺障害予測に有用なモデル細胞系である可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
他の肺障害性薬物として抗がん薬(ゲフィチニブ、メトトレキサート)、抗不整脈薬(アミオダロン)等についても、株化培養細胞RLE-6TNおよびヒト肺がん由来A549細胞を用い、EMTが誘導されるか否か、共通して変動するマーカーは何かについて検討を行う予定である。一方、初代培養細胞のII型‐I型分化転換過程に対する各種薬物の影響についても検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の推進方策に沿って検討を進めるので、研究経費は主に遺伝子発現解析、細胞培養関連試薬・器具、実験動物などの購入に充てる。また一部は、情報収集や研究成果の学会発表のための旅費に充てる。
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Research Products
(11 results)