2012 Fiscal Year Research-status Report
慢性肝炎時の組織間コミュニケーションリズム変容機構の解明と新規時間制癌剤の開発
Project/Area Number |
24590196
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松永 直哉(門田直哉) 九州大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (10432915)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 慢性肝炎 / 分子時計 |
Research Abstract |
本邦における肝癌の多くは、慢性肝炎・肝硬変といった慢性肝疾患を背景に発症する。発癌の主要な危険因子は、慢性肝疾患での慢性的炎症ストレスと考えられ、慢性炎症を制御することが臨床上重要でとされている。またこれら慢性炎症は、炎症組織外の他の組織機能に影響し、癌転移を促す可能性が示唆されている。本研究では、慢性肝炎から肝癌発症にいたる過程を、炎症内外の組織を対象に経日的また経時的(日周リズム)な生体機能変化に着目し解析を行う。そして、慢性肝炎による組織間コミュニケーションリズム破綻の分子機構を解明し、肝癌発症の新規分子機構を解明する。そして、その分子機構を応用した、新規時間制癌剤の開発を目指している。(平成24年度 実験計画課題)DEN誘発性肝癌モデルマウスの各臓器の機能解析および、慢性炎症特異的遺伝子リズムの解析 実験1-1;DEN誘発性肝癌モデルマウスを使用した、各組織を対象とする網羅的遺伝子発現解析による組織機能評価、平成24年度では、肝炎臓器を対象に遺伝子発現リズム解析を行った。その結果、炎症肝臓における時計遺伝子の発現リズムは、肝炎の進行とともに変容し、肝臓の分子時計が変化していることが示唆された。実験1-2;DEN誘発性肝癌モデルマウスを対象とした、各組織における慢性炎症特異的変容遺伝子の発現リズムの測定および、慢性炎症特異的変容遺伝子の発現調節転写因子Xの探索、炎症肝臓における、新規の炎症分子の発現リズムの変容も認められた。また、新規の炎症分子の転写機構をルシフェラーゼアッセイにより確認した。次年度では、DEN誘発性肝癌モデルマウスの各組織における慢性炎症特異的遺伝子の発現制御シグナル(新規コミュニケーションシグナルリズムY)の同定および発癌、転移に及ぼす影響を検証すする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本邦における肝癌の多くは、慢性肝炎・肝硬変といった慢性肝疾患を背景に発症する。発癌の主要な危険因子は、慢性肝疾患での慢性的炎症ストレスと考えられ、慢性炎症を制御することが臨床上重要でとされている。またこれら慢性炎症は、炎症組織外の他の組織機能に影響し、癌転移を促す可能性が示唆されている。本研究では、慢性肝炎から肝癌発症にいたる過程を、炎症内外の組織を対象に経日的また経時的(日周リズム)な生体機能変化に着目し解析を行う。そして、慢性肝炎による組織間コミュニケーションリズム破綻の分子機構を解明し、肝癌発症の新規分子機構を解明する。そして、その分子機構を応用した、新規時間制癌剤の開発を行う。(平成24年度 実験計画課題)により、慢性肝炎における新規の炎症分子が同定された。また、新規の炎症分子の転写調節機構の解析により新しい、慢性肝炎時の組織間コミュニケーション機構の解明につながると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
(平成25年度 実験計画課題)DEN誘発性肝癌モデルマウスの各組織における慢性炎症特異的遺伝子の発現制御シグナル(新規コミュニケーションシグナルリズムY)の同定および発癌、転移に及ぼす影響 (平成26年度 実験計画課題)慢性肝炎における各組織間新規コミュニケーションシグナルYを使用した新規時間制癌剤の開発 を次年度以降行う予定である。 研究の進み具合が遅くなる場合は人員を増員し、研究の進展に努力する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、24年度に遺伝子解析した結果および採取したサンプルまた、遺伝子改変動物を用い、実験を実施するためそのような費用の配分となっている(消耗品;110万円(直接))。また、26年度は、リポソームなどの製剤を作製するために、一般試薬、一般実験器具、薬効評価の動物実験のために、費用を分配している(消耗品;120万円(直接))。旅費等の明細に関しては、26年度は研究成果をアピールするための学会発表および論文投稿などを考慮して計上している。
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