2013 Fiscal Year Research-status Report
慢性肝炎時の組織間コミュニケーションリズム変容機構の解明と新規時間制癌剤の開発
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24590196
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松永 直哉 (門田 直哉) 九州大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (10432915)
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Keywords | 慢性肝炎 / 分子時計 / 組織間コミュニケーションリズム / ハイスループットスクリーニング |
Research Abstract |
本邦における肝癌の多くは、慢性肝炎・肝硬変といった慢性肝疾患を背景に発症する。発癌の主要な危険因子は、慢性肝疾患での慢性的炎症ストレスと考えられ、慢性炎症を制御することが臨床上重要でとされている。またこれら慢性炎症は、炎症組織外の他の組織機能に影響し、癌転移を促す可能性が示唆されている。本研究では、慢性肝炎から肝癌発症にいたる過程を、炎症内外の組織を対象に経日的また経時的(日周リズム)な生体機能変化に着目し解析を行う。そして、慢性肝炎による組織間コミュニケーションリズム破綻の分子機構を解明し、肝癌発症の新規分子機構を解明する。そして、その分子機構を応用した、新規時間制癌剤の開発を行う。 (平成24年度)DEN誘発性肝癌モデルマウスの各臓器の機能解析および、慢性炎症特異的遺伝子リズムの解析 (平成25年度)DEN誘発性肝癌モデルマウスの各組織における慢性炎症特異的遺伝子の発現制御シグナル(新規コミュニケーションシグナルリズムY)の同定および発癌、転移に及ぼす影響 について各年度で計画を予定していた。これまでに、DEN誘発性肝癌モデルマウスにおいて、肝臓の時計遺伝子が変容し時計遺伝子により制御されている因子Xが発がんシグナル初期に変容することが、その後の発がんに重要であることを明らかとした。 また、因子XはシグナルYにより制御されていることを明らかとした。そこで、因子Xの阻害剤をハイスループットスクリーニングを行い、新規阻害剤の候補化合物の同定にいたった。 今後、シグナルYが臓器間コミュニケーションに及ぼす影響を検討し、因子Xの阻害剤のブラッシュアップを行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、肝炎から発がんにいたる過程において重要な因子Xを同定し、因子Xを制御するシグナルYの同定にいたっている。また、1万化合物より、因子Xの阻害剤の新規発見に至っている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに、肝炎から発がんにいたる過程において重要な因子Xを同定し、因子Xを制御するシグナルYの同定にいたっている。また、1万化合物より、因子Xの阻害剤の新規発見に至っている。今後は、慢性肝炎時におけるシグナルYの組織間コミュニケーションの影響を検討し、同定した新規阻害剤を用いた新しい肝炎治療薬の開発を行う。
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