2013 Fiscal Year Research-status Report
がん細胞のセラミド代謝系制御による効果的がん化学療法の開発
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24590197
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
尾崎 恵一 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (50252466)
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Keywords | Ceramide / PI3-kinase / Akt |
Research Abstract |
PI3 kinase/ Akt経路の活性化レベルの高いがん細胞では、その下流の調節遺伝子にセラミド代謝酵素Glucosylceramide synthase (GCS)があり、発現が正に制御されていることからその発現レベル、酵素活性レベルが高い。したがって、セラミドを誘導することで抗がん作用を発現するドキソルビシンのような抗がん剤の感受性は、その代謝酵素GCSによって低下していた。本研究では、ドキソルビシンとそこにPI3 kinase/ Akt経路遮断剤を併用する際の細胞内セラミド量の変化を、マススペクトルによってモニターした。 その結果、細胞内でC16、 C18、 C24セラミドが、一過性にドキソルビシン処理により上昇し、そこにLY294002やAkt1/2 inhibitorのようなPI3 kinase/ Akt経路遮断剤を併用すると(GCS代謝活性を低下)、いずれの分子種のセラミドもさらに上昇した。 したがって、ドキソルビシンとPI3 kinase/ Akt経路遮断剤を併用することによる、抗がん作用の増強は、細胞内セラミドの上昇が媒介している可能性をみいだした。なお、ドキソルビシンによるセラミド誘導には、Sphingomyelinを分解してセラミドを生成するnSMase3の誘導が重要であることも見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標である、抗がん剤ドキソルビシンおよびPI3 kinase/ Akt経路遮断剤併用によって誘導される細胞内セラミド量をモニターすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
抗がん剤ドキソルビシンのほかのセラミド誘導性抗がん剤である微小管作用薬(ビンカアルカロイドやタキサン)などについても同様の解析、考察をおこなう予定。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度に消耗品のコストがかかる。 抗体などの消耗品
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