2013 Fiscal Year Research-status Report
嫌気性菌をドラッグデリバリー担体に用いた固形がんに対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
24590203
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
平 裕一郎 帝京平成大学, 薬学部, 講師 (20581953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 功 帝京平成大学, 薬学部, 教授 (00415556)
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Keywords | 抗腫瘍薬 / DDS / 嫌気性菌 / ビフィズス菌 |
Research Abstract |
本研究の目的は遺伝子組換えビフィズス菌を用いてEGFR陽性がんに対する新規な治療法を確立することである。ビフィズス菌は、静脈内に投与した場合、非常に高い選択性をもって腫瘍でのみ増殖する。これまでに、ビフィズス菌に抗EGFR抗体/緑膿菌外毒素A融合蛋白質を分泌させることにより、in vivoでEGFR陽性移植がん細胞(皮膚がん、乳がん)に対し抗腫瘍活性が現れることを見出した。また、抗EGFR抗体/緑膿菌外毒素A融合蛋白質のビフィズス菌での分泌を確認し、大腸菌で作製した抗EGFR抗体/緑膿菌外毒素A融合蛋白質を用いてEGFRとの結合、細胞内への抗EGFR抗体/緑膿菌外毒素A融合蛋白質の取り込みを見出し、種々のがん細胞でのin vitroでの細胞増殖阻害活性を見出している。本年度は、さらにがんの種類を広げてin vivoでの抗腫瘍効果を検討した。具体的には、 1.EGFR陽性の膵臓がん由来BxPC-3細胞を移植したマウスに対して、抗EGFR抗体/緑膿菌外毒素A融合蛋白質を発現する組換えビフィズス菌を静脈内投与し、抗腫瘍効果を検討したところ、高い抗腫瘍効果を見出した。 2.EGFR陽性の肺がん細胞であるPC-9を移植したマウスに対しても、同様に本組換えビフィズス菌の静脈内投与により高い抗腫瘍効果を見出した。 以上の結果は、本組換えビフィズス菌がEGFR陽性の膵臓がんおよび肺がん細胞に対し、高い抗腫瘍効果を持つことを示すものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度 研究実施状況報告書の「今後の研究の推進方策」に記述した、 1.EGFR陽性の膵臓がん由来BxPC-3細胞のin vivoでの抗腫瘍効果 2.EGFR陽性の肺がん由来PC-9細胞のin vivoでの抗腫瘍効果 を検討した。その結果、両がん細胞において、抗EGFR抗体/緑膿菌外毒素A融合蛋白質発現・分泌ビフィズス菌は高い抗腫瘍効果を得られた。 よって、研究の目的の達成度については、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在肺がん治療では、EGFRリン酸化阻害薬であるゲフィチニブに対する耐性が問題となっている。そこで、 1.EGFRリン酸化阻害剤であるチロホスチンを肺がん由来PC-9細胞に添加して、EGFR阻害剤耐性細胞を作製する。 2.この耐性細胞を用いて抗腫瘍効果を検討する。 また、平成25年度にIVIS(in vivo imaging system)を導入した。そこで、 3. IVISを用いて、マウスが生きた状態でのビフィズス菌の腫瘍蓄積性を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由は、本年度の補助事業は予定通り実施し成果も得られたが、本年度の補助事業の遂行計画を実施する際に必要な支出と交付された金額との差額が発生したからである。 基本的には平成24年度に提出した交付申請書の通りに実施する予定であるが、一部は人件費・謝金に使用する予定である。
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