2014 Fiscal Year Research-status Report
嫌気性菌をドラッグデリバリー担体に用いた固形がんに対する新規治療法の開発
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24590203
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
平 裕一郎 帝京平成大学, 薬学部, 講師 (20581953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 功 帝京平成大学, 薬学部, 教授 (00415556)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 抗腫瘍薬 / DDS / 嫌気性菌 / ビフィズス菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は遺伝子組換えビフィズス菌を用いてEGFR陽性がんに対する新規な治療法を確立することである。ビフィズス菌は、静脈内に投与した場合、非常に高い選択性をもって腫瘍でのみ増殖する。これまでに、ビフィズス菌に抗EGFR抗体/緑膿菌外毒素A融合蛋白質を分泌させることにより、in vivoでEGFR陽性移植がん細胞(皮膚がん、乳がん)に対し抗腫瘍活性が現れることを見出した。また、抗EGFR抗体/緑膿菌外毒素A融合蛋白質のビフィズス菌での分泌を確認し、大腸菌で作製した抗EGFR抗体/緑膿菌外毒素A融合蛋白質を用いてEGFRとの結合を見出し、種々のがん細胞でのin vitroでの細胞増殖阻害活性を見出している。昨年度は、さらにがんの種類を広げてin vivoでの抗腫瘍効果を検討した。具体的には、1.EGFR陽性の膵臓がん由来BxPC-3細胞を移植したマウスに対して、抗EGFR抗体/緑膿菌外毒素A融合蛋白質を発現する組換えビフィズス菌を静脈内投与し、抗腫瘍効果を検討したところ、高い抗腫瘍効果を見出した。2.EGFR陽性の肺がん細胞であるPC-9を移植したマウスに対しても、同様に本組換えビフィズス菌の静脈内投与により高い抗腫瘍効果を見出した。以上の結果は、本組換えビフィズス菌がEGFR陽性の膵臓がんおよび肺がん細胞に対し、高い抗腫瘍効果を持つことを示すものと考えられる。 現在肺がん治療では、EGFRリン酸化阻害薬であるゲフィチニブに対する耐性が問題となっている。そこで、今年度は 1.EGFRリン酸化阻害剤であるチロホスチンを肺がん由来PC-9細胞に添加して、EGFR阻害剤耐性細胞を作製した。 2.この耐性細胞を用いて抗腫瘍効果を検討し、本耐性細胞株に対して抗腫瘍効果を見出した。 3. IVISを用いて、マウスが生きた状態でのビフィズス菌の腫瘍蓄積性を見出した。以上の3点を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度 研究実施状況報告書の「今後の研究の推進方策」に記述した 1.EGFRリン酸化阻害剤であるチロホスチンを肺がん由来PC-9細胞に添加して、EGFR阻害剤耐性細胞を作製する。 2.この耐性細胞を用いて抗腫瘍効果を検討する。 以上の2点について、本年度で全て作製・解析できた。さらに、平成25年度にIVIS(in vivo imaging system)を導入した。そこで、 IVISを用いて、マウスが生きた状態でのビフィズス菌の腫瘍蓄積性を検討することができた。 以上のことから、研究の目的の達成度について、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の臨床応用を考慮した場合、現在のMRS培地を用いた対数増殖期のビフィズス菌の培養液を遠心分離器を用いて精製し、担癌マウスに静脈内投与する方法は、 1.MRS培地中の動物由来成分(肉エキス)に由来する安全性の問題 2.臨床現場において遠心分離器を用いて精製ことの困難性の問題 3.遠心分離器を用いて精製する際の精製サンプルの品質の安定性の問題 以上の3点の製剤上の問題点がある。今後は、これらの3点の製剤上の問題を解決する研究を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
既使用額で十分な成果が得られているが、補助事業期間を延長し未使用額を活用することにより、さらに研究の進展が見込まれる状況である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
組み換えビフィズス菌の製剤化に必要な精製システムの構築に必要な機器、器具、試薬の購入に使用する。また、情報収集のための学会参加費としての旅費に使用する。
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