2014 Fiscal Year Annual Research Report
重症筋無力症患者における末梢性免疫寛容誘導に基づくオーダーメイド療法
Project/Area Number |
24590215
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
田中 祥子 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (50328556)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 重症筋無力症 / 制御性B細胞 / IL-10 / B細胞活性化因子 / 免疫寛容 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症筋無力症(MG)は,アセチルコリンレセプター(AChR)に対する抗体が生じ,神経筋伝達が遮断される自己免疫疾患である.MGでは,T細胞依存的にB細胞が活性化し,自己抗体を産生する形質細胞へと分化する.このため分子標的薬を用いたB細胞除去療法の有用性が報告されている.しかしながら,B細胞除去により自己免疫寛容が破たんする可能性も考えられる.以上のような背景から,MG患者における個別化免疫抑制薬物療法の推進に向けて,B細胞の活性化あるいは抑制機能を評価することによる治療効果予測の可能性について検討を行った. 本研究では,自己反応性B細胞の増殖に関与するとされているB細胞活性化因子(BAFF)に着目し,B細胞を標的とした治療の有用性に関する検討を行った.MG患者CD19+B細胞においては,BAFF受容体(BAFF-R)が高発現しており,抗アポトーシス作用を示するBcl-2発現率との間に有意な相関が認められた.したがってMG患者B細胞におけるBAFFシグナルがBAFF-Rを介し,抗アポトーシス作用を示す可能性が示唆された.一方,IL-10やTGF-βなど抑制性サイトカインを産生する制御性B(Breg)細胞が自己反応性T細胞の活性化を抑制すると考えられている.MG患者では健常者と比べてCD19+B細胞におけるBreg細胞の割合が顕著に低く,重症のMG患者ほどその割合が低下していることが明らかとなった.さらにB細胞におけるBAFF-RおよびIL-10受容体の発現と抗ACh-R抗体価変化率との間に有意な正の相関が認められた.以上の結果から,MG患者においてBAFFおよび IL-10がB細胞に作用し,自己抗体産生を制御している可能性が示唆された.このようにMG患者の末梢免疫寛容の誘導においてBAFF 産生の制御とIL-10産生の促進が有用であると考えられた.
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Research Products
(2 results)